このコーナーでは、阪神タイガース関本賢太郎選手の契約交渉代理人をつとめている黒田弁護士が、阪神タイガースやプロ野球に関する小ネタをご紹介しています。今日は、甲子園のグラウンドを管理する阪神園芸に関する小ネタ、2回シリーズの後半です。

阪神園芸のこだわり

 球場で野球を見ていると、おもに三回、五回、七回にグラウンドキーパーさんが出てきて、トンボでグラウンドを平らに整備しています。ボコボコになったグラウンドが綺麗に整えられていく様は、まるで魔法の杖を使っているようですね。このトンボをかけられるようになるには相当な訓練が必要だそうで、なんと早くて2~3年の年月を要するという。
 むしろ、素人から見ると難しそうに見える整備用トラクター「バンカーエース」は、普通車の運転免許さえあれば、数日から数週間で乗れるそうだ。意外!
 それより本当に難しいのが「トンボかけ」だという。「ただスパイクの穴を埋めるだけだったら、野球経験者ならできる。でもたいてい同じ方向から土を持ってくるから、ある場所は高く、ある場所は低くと凹凸ができてしまう」。凹凸があるとイレギュラーしやすいのはもちろん、雨が降ると水が溜まりやすくもなる。
 それを凹凸がないように、さらにマウンドから外側に向かう緩やかな傾斜に沿って整えていく。大きな傾斜ではないだけに、より難しいそうだ。
 かけ方は、トンボで土を引っ張っては戻す。押し引きで少しずつ土を寄せながら、低いところに土をかぶせて穴を埋めていく。試合後の荒れた状態の時は、押して引っ張ってを繰り返す。より荒れた状態…例えば高校野球の4試合終了後などは、「ずーっと何メートルも土を引っ張ってきて、低いところにあける」という作業を延々続けなければならない。
 トンボかけを任されるようになるまでは、早くて2~3年かかるという。