第3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することが出来ないもの

1) 従来の脳損傷=低次脳機能障害では、四肢の麻痺、感覚異常、錘体外路症状及び失語等の所謂、大脳巣症状、

感情鈍麻や意欲減退の人格変化又は記憶障害の高度なもの

麻痺の症状が軽度で、身体的には能力が維持されていても、精神の障害のために他人が常時付き添って指示を与えなければ、

全く労務の遂行が出来ないケースと言われていました。

2) 高次脳機能障害では、生命維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、

高度の神経系統の機能又は精神の障害のため、終身にわたりおよそ労務につくことが出来ないもの

自宅周辺を一人で外出出来るなど、日常の生活範囲は自宅に限定されておらず、また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行えるものの、

記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、

一般就労が全く出来ないか、困難なもののことです。

ここで説明する労務とは?

労働者の作業だけでなく、主婦の家事、児童や学生の就学も含まれています。

一見、 働けそうに見えても、大脳巣症状、四肢の麻痺、錘体外路症状、

記憶力や感情の障害、人格の変化、知能の低下等で、どうしても社会に出て働くことが出来ない場合、第3 級 3 号に該当します。

大脳巣症状とは、大脳の特定の部位に器質的損傷を受けたために、日常使っている言語や道具が何を意味するのか?

こんなことが、理解出来ない状態のことです。

麻痺の症状が軽度なものであっても、精神の障害のために他人が常時付添って指示をしない限り、

労務の遂行が出来ないケースは、第3 級 3 号が認定されています。

3)外傷性てんかんで、十分な治療にかかわらず、発作に伴う精神の障害のため、

終身労務に服することが出来ないものは、第3 級 3 号が認定されています。

4)三半規管や耳石の前庭系、視覚系、表在・深部知覚系、

人間の身体の平衡機能は、 上記の 3 系統から発信された情報を小脳および

中枢神経系が統合して左右のバランスをとり、維持されています。

従って、平衡機能障害を来たす部位は上記の 3 つの器官以外にも、

脳幹・脊髄・小脳の中枢神経系が予想されるのです。

眩暈は通常、内耳、内耳神経、脳幹の前庭、小脳の障害で発症すると考えられます。

失調とは運動失調のことですが、平衡機能障害で複雑な運動が出来ない状態のことを説明しています。

深部知覚、前庭、眼、小脳、大脳の障害によって発症すると考えられます。

めまい・失調・平衡機能障害で、生命の維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、

高度の失調又は平衡機能障害のため、終身労務に就くことが出来ないものは、 3 級 3 号となります。

交通事故後遺障害の、めまい・失調・平衡機能障害は、頭部外傷に由来したものに限られます。

5)脊髄損傷のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、

終身にわたりおよそ労働に服することは出来ないものは 3 級 3 号が認定されています。