こんにちは、弁護士の北村です。

後遺障害等級認定が重要!・・・?

最近「交通事故」を前面に押し出している法律事務所のホームページをよく見かけるようになりましたね。
この手のホームページには(弊事務所もですが)「後遺障害等級認定が重要!」みたいなことが謳われています。自賠責保険の後遺障害等級の概要についての説明があって、最後には「後遺障害でお困りの方はこちらの相談フォームからご相談を」みたいなのが典型例ですね。
一応、敵情視察がてら、他の法律事務所がどのようなことをホームページに記載しているのかはチェックするようにしているんですが、中には思わず「弁護士に依頼さえすれば後遺障害等級が認定される」かのような錯覚に陥ってしまいそうなものも見受けられます。
でも後遺障害等級って実際のところ、どれくらいの人が、何級の認定を受けているのかって意外と知られていなかったりします。

後遺障害等級を獲得している人ってどれくらいいるのか

そこで探し出しましたよ。統計を。
大げさに言いましたが思いのほかすぐに見つかりました。

ご存じ「損害保険料率算出機構」では「ディスクロージャー資料」として「自動車保険の概況」をホームページ上の掲載しています。現在の最新データは平成26年度(平成25年度データ)のようです(詳細はhttp://www.giroj.or.jp/disclosure/o_gaikyo/をどうぞ)。

え!5%?

「第1部 平成25年度の事業概況」中の「Ⅰ.自賠責保険」では自賠責保険にまつわる様々なデータが掲載されていて、「第24図 後遺障害支払件数の推移」というところで自賠責保険の傷害支払件数・後遺障害支払件数が報告されています。
この図によると、平成25年の傷害支払件数は118万5334件、うち後遺障害支払件数は5万9422件で、傷害支払件数における割合は何と5%(!)にとどまります。
まあ後遺障害部分の請求件数がわからないので何ともいえない数字ではありますが、交通事故に携わる弁護士としての「皮膚感覚」とは結構かけ離れた数字だったので少し驚きです。
ちなみに平成21年度は5.6%、平成22年度は5.4%、平成23年度は5.4%、平成24年度は5.2%と、ここ5年は5%台で推移しているとのことで、平成25年がとりたてて後遺障害支払件数が少なかったという訳でもなさそうです。

後遺障害等級の構成比

後遺障害等級の構成比は「第25図 後遺障害等級別件数構成比」にて報告されていますが、構成比が大きい順に並べると上位5つは①14級(58.91%)、②12級(17.57%)、③11級(6.72%)、④ 9級(3.36%)、⑤10級(3.28%)となります。
最も多いのは14級で、これはまあ「予想通り」といったところですが、その割合は実に58.91%にも上ります。後遺障害等級が認定される方の実に6割は14級ということになりますね。

事故に遭ったら、後遺障害等級が取れるか検討が必要です

以上、後遺障害等級を統計的に見てみましたが、いかがでしたか?
交通事故に携わる弁護士としては、傷害支払件数における後遺障害支払件数の割合が5%にとどまっているという数字はなかなかに衝撃でした。
「残りの95%の中には、本来であれば後遺障害等級が認定されて然るべき方がどれくらいいらっしゃったのだろう」などと思いを馳せてしまいます。
そのような方がいなくなるよう尽力しようと改めて思った今日この頃です。