高次脳機能障害の等級認定は?

高次脳機能障害に関しては、労災保険の認定基準があります。
しかし、労災保険は就労者を対象とするのに対し、交通事故では、子どもや高齢者も被害者となります。
そこで、交通事故では、労災保険とは異なる検討をする必要があり、その検討にあたっては、「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて」(報告書)(平成12年12月18日)で示された「脳外傷による高次脳機能障害の等級認定にあたっての基本的な考え方」が参考になります。

脳外傷による高次脳機能障害の等級認定にあたっての基本的な考え方

障害認定基準 補足的な考え方
別表第1
1級1号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
別表第1
2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
別表第2
3級3号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、身労務に服することができないもの 自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
別表第2
5級2号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
別表第2
7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服する事ができないもの 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行う事ができないもの
別表第2
9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服する事ができる労務が相当な程度に制限されるもの 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、業効率や作業持続力などに問題があるもの