逸失利益分を請求

「交通事故に遭った人(年齢50歳)がいたとします。年収500万円。

しかし、事故のせいで普段の能力の80%(つまり400万円分)しか働けません。

65歳の定年まで、15年間の逸失利益分である1500万円を損害賠償してほしい。」

とします。はたして、そのまま1500万円もらえるでしょうか。※

(※逸失利益は本当は定年までの65歳までではありませんが、話を分かりやすくするためにこの設定にしました。)

 

答えは、満額もらえません。

現在の100万円が15年後も同じ価値ではないという考え方です。

毎年100万円を積み立て貯金した場合、当然利息が発生します。

そこで、1500万円を満額支払うでのはなく、発生するであろう利息分を差し引いた金額を、損害賠償として支払うこととなるのです。

 

ライプニッツ係数を計算

ちなみに、1年後に100万円ちょうどもらおうとすると、今いくらもらえばいいでしょうか?

ここでのポイントは、現在の普通預金や定期預金の金利(0.02%~0.5%位)を考えるのではなく、

民法の法定金利である5%を複利で運用するとして係数が算出されてしまいます。

今時考えられないほどの金利ですが、法律で決められていますので、仕方がありません。

よって、計算式は下記のとおりとなります。

X×1.05=100万円

X=95万2380円

1年だけでも、5万円ほど削られてしまいます。

さてここで、ライプニッツ係数を計算してみたいと思います。

ライプニッツ係数とは、元本を計算するために求める係数のことなので、

952,380÷1,000,000=0.9523

これが、1年間でのライプニッツ係数となります。

2年間だと、

952,380÷1.05≒907,028

907,028÷1,000,000≒0.9070

0.9523+0.9070≒1.8594となります。

これを計算しやすいように出したものが複利年金現価表として公表されています。

1年

0.9523

7年

5.7863

2年

1.8594

8年

6.4632

3年

2.7232

9年

7.1078

4年

3.5459

10年

7.7217

5年

4.3294

15年

10.3796

6年

5.0756

20年

12.4622

 

結果、いくらもらえるの?

さて、最初の問題にもどって、実際いくらもらえるか計算しますと、

100万円(年間逸失利益)×10.3796(←今回のライプニッツ係数)=10,379,600円

となります。

なんと、約450万円も減ってしまう計算となるのです。

民法の法定利息はおそろしいですね。