世の中、不合理なことだらけです。茨木太陽は、そんな所を照らし出し、世に訴えたいと思います。ぼやき漫才 人生幸朗さんが如く、茨木太陽がぼやきます。「ばか者!!責任者出てこい!!」
えっ!!人生幸朗(じんせい こうろう)さんをご存じない…。昭和漫才の大御所です。是非、YouTubeで検索ください。知らなきゃ損。
さて、本日は…

落下物案件と慣性の法則

 トラック積載の土石が落下し、後続車両を傷つけたという案件は、当事務所でも数年に一度あります。私の経験からすると、保険会社の態度は、、落下物による後続車の物損事案基本的に否認です。否認の理由の多くは①「慣性の法則」というものです。「慣性の法則」というのは、動いている車から物が離脱した場合、落下物も車と一緒に移動し、後続車に当たらないというものです。慣性の法則で、落下物が一緒に移動しているので、後続車到達の時には、地面に落下物があり、車のボディやフロントガラスに傷を付けることはないという主張です。
 本来、慣性の法則は、真空の状態で成り立つ話です。地球には、空気という物が存在し、空気抵抗があることを保険会社敢えて目をつぶるようです。車からゴミを投げて、ゴミが車と一緒についてきたら、ポイ捨ても減るでしょうが…。
 しかし、裁判所も結構この慣性の法則を理由とした判決下すことが多いのも事実です。だから、保険会社のこのバカな主張による払い渋りは止みません。自衛策としては、やはり、私がいつも申し上げているとおり、ドライブレコーダーが大切だと感じます。
 最近も、この落下物事件終了した案件ありますが、保険会社の落下物案件に対する頑なに拒否する態度は、問題だと思います。被害者が、トラックの荷台に土砂がこぼれ落ちた跡の事故直後の写真を撮っていましたので、幸い全面勝訴で終わりました。でも、わずか被害額30万円の事件です。何度も、裁判所が心証を示し、和解勧告をしたにも拘わらず、必要な抵抗を続け、控訴審を経て、確定という2年を要する裁判となりました。僅か30万円の事件で、加害者運転手も加害を事実上認めている案件で、このような抵抗をしてくることは、事実上の牛歩戦術です。弁護士特約なければ、被害者は、戦おうにも費用倒れになり、事実上泣き寝入りを強いられることになります。弁護士特約あっても、経済的利益30万円の事件では、規定上、弁護士特約からの支払い額は、僅かなものですので、弁護士にとっても赤字事件になりがちです。
 この種の案件、結構、保険会社は、自分で、実験して、その実験結果を証拠として出してきたりします。結構、ばかばかしい実験結果をして、それを堂々と主張してきたりします。この点、大きくぼやかせて頂きます。
●実験① 走るトラックの窓からサッカーボールを落とす実験。「ほら、慣性の法則で、車から落ちたボールは、後ろに跳ぶんではなく、車と同じ方向に転んでいっていますね。後ろの車に当たるわけがない」
 →空気の無い月のお話しでしょうか。一度、高速道路で、高速走行中、トラックの荷台の上で、紋付袴姿で、手足広げて大きく万歳ジャンプする実験は如何でしょうか。慣性の法則では、トラックの荷台にきれいに着地するので安全ですよね。

●実験② 停止しているトラックから大石を落す実験。「ほら、跳ねないでしょ、車のボンネットやフロントガラスに届くわけがない」
 →慣性の法則からすれば、地面に落ちても前に転がっていこうという力が働くのですね。石って、まん丸じゃないのが普通ですね。どうせなら、高速走行しているトラックから、ラグビーボールのような形の石を落としても跳ねませんっていう実験の方が信憑性高まると思うのですが…。 
また、小石が当たる実験に大石をどうして使うのでしょう。高速走行のトラックの後しろは、すごい気流です。バイクや軽自動車吸い込まれたりする位の力ありますので、小石など簡単に巻き上げられたりします。
●実験③ 積載小石の一つを車体に出てぐりぐり押し付ける実験。「ほら、このように石押し付けると、複数の傷近接してつきます。原告の車の傷は、一つ一つちょっと離れています。この石が原告の車に傷を付けた石でないことは明らかです」
 →すいません。頭がついていきません。一つの石を手でグリグリって何ですのん?小石の形状に合わせて複数の傷がつくはずという論理の様ですが、通常、一カ所に圧力がかかるので、傷が生じるわけです。どう考えても、石の形に合わせて複数の傷がつくはずというのは、論理の飛躍ですね。
●実験④ 小石を車の正面から投げつける実験とそっと、小石を車の上に投げ置く実験(ワイパーに小石が残っていたいた案件にて) 「傷がつくようなスピードで当たれば、小石は、弾き飛ばされて、車上に残ることはありません。車上に残るのは、そうっと投げ置いた時だけです」
 →あの~それ自体は、特に否定するつもりはないですが、ワイパーに残る小石が傷をつけた石と決めつけるのはいかがなもんでしょう。ドサッと土石落ちてきた案件ですので、ワイパーに小石挟まって残るっていうことはあり得ると思うのですが…。
  どうせなら鳥居の上に小石投げ置く実験は如何でしょうか。なんか御利益ありそうな気がします。
  皆さん、どうですか。このバカバカしさ。誰かこの実験考えたんでしょ。この③④の実験で、車傷だらけですわ。この車修理してまた使うんでしょうか。「馬鹿者!!責任者出てこい!!」そんな修理するくらいやったら、こっちの車の修理しろ!!

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(2018/8/24 文責:弁護士黒田)