本日は、朝早くから起きての日帰り金沢出張でした。特急サンダーバードは、高槻駅に停車するので、助かります。
 高槻駅で知人の税理士Hさんと出くわし、同じ列車に乗るとの事で、自由席に変更し、ご一緒することになりました。Hさんは、大学の先輩で、とても温厚な方で、時々、案件をご紹介頂いています。
 電車の中では、話が弾みました。その中で、税理士と弁護士の比較論がとても面白く、弁護士は、狩猟民族、税理士は農耕民族という位置付けとなりました。狩猟民族は、猟師、あるいは漁師ということになりますが、面倒なので、以下、漁師で書き進めます。
 農耕民族(お百姓)たる税理士さんは、山林から田畑開墾し(新しく事業を始めた方のサポート)、日々、作物(顧問先)の世話をし、一年に一度(確定申告時)に実りを受け取る。一度、開墾すれば、ずっと、毎年実りをもたらしてくれる(通常税理士を変えることはない)。時々台風(税務調査)も来て、被害もでるが、台風も雨をもたらしてくれて、日本の農耕には、無くてはならないものです。税務調査もなければ、誰も税理士に依頼しません。税理士にとっても、台風(税務調査)は、無くてはならないものです。
 定型的な作業が多く、小作(従業員)をうまく使えば、大規模農場(大規模会計事務所)を経営することも可能です。
 大切に世話すれば、土地(顧問先)を子孫に承継することは、容易で、大地主が代々引き継がれる傾向にあります。ただ、最近は、開墾する土地が少なく、新人税理士は、小作人から抜け出せず、格差社会が形成されつつある様です。
 これに対して、狩猟民族(漁師)たる弁護士は、同じ田畑から毎年実りがあるわけではなく、一回、一回が勝負。事件が終了すれば、大抵の場合、依頼者との関係は、それで終了。次の魚(事件)を捕ることで生計を立てる事になります。弁護士としては、皆、大間のマグロの如く大物魚を捕りたいと願っていますが、現実は、鯛、ヒラメ、サンマで生計立てています。ただ、最近は、司法改革の下、弁護士大幅増員により、漁師が増えた上、資源も少なくなり(事件の相手お金無ければ事件になりません)、サンマも不漁続きです。
 漁を知らない若者や牙が折れた老弁護士は、うまく、狩猟・漁(事件解決)ができず、収入が確保できなくて、悪徳業者の手先に使われた挙げ句弁護士資格を失う例が絶えない状況にあります。
 Hさんは、税理士業をされていますが、公認会計士の資格も有しておられる方で、「士業」の事をよく分かっておられます。
 Hさん曰わく、「私は、弁護士は、とても大変な仕事だと思います。人の揉め事に首を突っ込んで行くお仕事なわけですから…。私は、揉め事は大嫌いで、話を聞くだけで、心が折れてしまうのです。」
 そうなんです。弁護士業は、揉め事を扱う仕事なので、とても神経を使います。実際、危険な思いをすることも多々あります。また、勝負事なので、勝ち負けがあり、負けると(魚を取り逃す)と収入がガクンと減ります。負けると心凹みます。更に、依頼者は、どんな仕事をするかよりも結果を求めますので、どんなにいい仕事しても結果に満足して頂けないこと多々あります。依頼者も精神的に張り詰めているケースが多く、その扱いを誤れば、依頼者がクレーマー化する危険があります。
 それに対して、税理士は、基本、商売である程度成功している人を扱います。金持ち喧嘩せずといいますが、ある程度、商売が成功し、心が穏やかな方が顧客です。仕事の結果も、一般の人には分かりません。多少の税務申告ミスがあっても、顧客が気付くことは先ずありません。弁護士は、実質勝訴でも満足頂けず、「弁護士ダメだ」と言われたりします。
 現実、弁護士は、鬱病など精神疾患に陥る人がとても多いのです。