脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
平成16年10月15日 以降に発生した事故日から、等級認定基準が改訂されました。
脊柱は、 7 つの頚椎、 12 の胸椎、 5 つの腰椎と仙骨、尾骨の 26 個の椎骨で構成されており、体位の保持と脊髄の保護の役目を果たしています。
従来は、頚椎と胸腰椎に第6 級 5 号が認定されていましたが、改定後、脊椎の第6 級 5 号は、頚椎・胸腰椎の両方に脱臼・圧迫骨折、固定術がなされていることが要件となります。
第6 級 5 号は強直(固まっている状態)または 10 %以下の制限となります。
【脊柱、頚部および胸腰部の認定等級表】
脊柱・頚部の場合
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主要運動
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参考運動
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前屈
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後屈
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回旋
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合計
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側屈
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正常値
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60°
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50°
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左右70°
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250°
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左右50°
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第6級5号
(正常値の10%以下)
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10°※
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5°
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10°
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25°
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第8級2号
(正常値の50%以下)
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30°
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25°
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35°
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90°
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第11級7号
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角度に関係なく脊柱の奇形・変形で認定されます。
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※この場合の 10 %とは、 5 °単位で切り上げた角度になります。
頚部の前屈は 60 °の10 %は 6 °ですが 5 °単位で切り上げるため 10 °となります。
脊柱・胸腹部の場合
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主要運動
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参考運動
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前屈
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後屈
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合計
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回旋
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側旋
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正常値
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45°
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30°
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70°
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40°
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50°
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第6級5号
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5°
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5°
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10°
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第8級2号
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25°
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15°
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40°
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20°
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25°
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第11級7号
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角度に関係なく脊柱の奇形・変形で認定されます。
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尚、関節の角度が 10 °以下に制限されている場合は、全て強直に近い状態に該当します。
さらに計測法も変更されています。
従来は、屈曲と伸展、左右屈を主要運動としていましたが、屈曲と伸展、左右回旋を主要運動とすることに変更されたのです。
日常生活では、左右屈制限よりも、後方を確認する左右回旋が明らかに重要ですから、
これは当然の改正と考えます。
主要運動とは、日常の動作で最も重要なものです。
後遺障害等級は原則として主要運動の計測値の合計で判断されています。
脊柱の運動・変形・荷重による後遺障害(第6級5号認定基準)
(運動障害)
頚部及び胸腰部のそれぞれに脊椎圧迫骨折もしくは脊椎完全脱臼があること、又は脊椎固定術により、頚部及び胸腰部が共に強直又はこれに近い状態となった場合と項背腰部軟部組織の明かな器質的変化のため、頚部及び胸腰部が共に強直又はこれに近い状態となった場合
(荷重障害)
脊柱圧迫骨折・脱臼又は項背腰部軟部組織の明かな器質的変化のために、頚部及び腰部の両方の保持に困難があるため、常時、硬性コルセットを必要とするもの
(変形障害)
① 2 個以上の椎体の前方椎体高が当該後方椎体高と比べて減少し、その減少した合計が被災した 2 椎体の後方椎体高の 50 %以上になっていること、
②コブ法による側彎度が 50 °以上であるとともに、 1 個以上の椎体の前方椎体高が当該後方椎体高と比べ減少し、かつ、その減少した合計が被災した 1 椎体の 50 %以上になっていること
※コブ法とは、脊柱の側彎角度の計測法の 1 つで、上下の側彎カーブの変曲点で、
頚側は椎体の上縁、尾側は、下縁で線を引き、角度を求めます。
従来は、頚部と胸腰部に別個に第6 、8級が認められており、脊柱の可動域が、2 分の 1 以下であれば、第6 級、 2 分の 1 + 10 °で第8級が認定されていたのです。
しかし、これが廃止され、頚部+胸腰部の双方の可動域が強直した場合に限って第6級、頚部もしくは胸腰部単独では、強直、脊柱の可動域が 2 分の 1 以下で第8級2号を認めると改正されたのです。
端的に言えば、第6級5号が認定されることは極めて稀です。
今後、脊柱の圧迫骨折等は、第8級2号、第11級7号の選択となります。