クラウドファンディング(2021.5.28)

最近、クラウドファンディングの話題がよくあがります。
クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。
銀行等の金融機関ではなく、一般の人から直接お金を出してもらい事業を行うというものです。
① 金銭的な見返りを求めない「寄付型」
② プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」
③ 金銭リターンが伴う「投資型」
大きく分けてこの3種類があります。
プロジェクトと一般市民を結びつけるクラウドファンディング業者は、集まった資金から手数料を取って、残りをプロジェクト者に渡します。
出資者は、ある程度のリスクを覚悟の上、ファンドに投資するのですが、担保も何もない投資です。いいかげんなプロジェクト者ならば、お金をドブに捨てた状況になりかねません。募集を紹介するクラウドファンディング業者の目利きが重要になってきます。

SBIの子会社は、この「投資型」クラウドファンディングを行っていました。しかし、この度、事業から撤収をすることにしたようです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6b64dc8b8d923c6ded519ff30eee43ce90b2cacf

理由は、目利きがまるでダメで、親会社が大損をしたからです。
子会社は、そもそも管理部門が人手不足で、投資先の管理が図算でした。目的外使用をされても気付かなかった様なのです。プロジェクトの工事さえされていなかった事例も多かった様です。かつ、資金の40%程を特定のプロジェクトに出資していたようなのです。その会社が倒産すれば、出資は、全てパーです。
銀行が、特定の企業に全預金残高の40%もの資金をつぎ込むことはありません。
この杜撰なクラウドファンディングの実態が明らかになり、親会社は、出資者の損害を全額肩代わりしたようです。
半沢直樹の世界ではありませんが、貸し出しには、目利きが大切です。同様出資は、人のお金を預かる者ではないですが、投資を呼びかける者である以上、その責任も重大です。
 SBI親会社は、業界大手であるのに、目利きの難しさを実感し、撤退することにしたようです。年間4億程の利益しかでない事業に、今回、145億の補償を余儀なくされました。
 本来、投資に対する補填は禁止ですが、今回の事案は、事件性もある特殊事案として、補填が認められたようです。 
 しかし、投資は、本来自己責任です。皆様、ご注意ください。クラウドファンディング、流行に安易に乗ってはいけません。

今年の司法試験出願者は、僅か3754人!合格率40%?

弁護士ドットコムの業界人専用コミュニティーサイトに書いてある事が面白いと同僚弁護士に言われて、訪れてみました。
このタイトルのスレが立てられ、いろいろな弁護士がコメントしていました。
我が業界は、「オワコン」だそうです。そもそも、私は、オワコンの意味が分からなかったので、調べてみると「終わったコンテンツ」の略語だそうです。若い者が弁護士の仕事に魅力を感じていないことよく分かります。
この合格率だと、司法書士試験や税理士試験の方が遙かに難しいと思います。実際、コメントの中には、司法書士試験ずっと受からなくて、ロースクール行って、司法試験受けたら、一発で合格したというのもありました。
 現在東大の学部の合格最低点は、文Ⅰよりも文Ⅱ、文Ⅲの方が高いそうです。法学部に魅力が無くなっちゃていますね。
 現実、弁護士業界収入減少が著しく、その分、大変な事件も引き受けなければなりません。大変な事件は、労多くして、やはり、依頼者の満足のいくような結果にならないことも多く、弁護士としては、大きなストレスとなります。 
 でも、現時点での感覚からすれば、仕事を選ばなければ、若手でも一流企業給料くらいの収入はありますし、やり甲斐感はあります。今のところ、弁護士であることにより、社会的に信用される事も多いです。このことは、生きていく上でとても楽です。
 コメントの中に、2031年、2041年の状況がどうなっているか怖いが知りたいみたいなものがありましたが、同感です。おそらく、アメリカの様に、法廷を仕事の場にするのではなく、弁護士資格を持って、ビジネスの世界で活躍するのが普通の時代になっているでしょう。

さいたま市(2021.5.19)

関西人は、東京周辺の地理に詳しくはありません。今度、埼玉地方裁判所での裁判が始まるのですが、埼玉地裁は初めてですので、地図で調べました。
私と事務とのお馬鹿な会話です。
私:「埼玉地裁は、浦和じゃ無かったかな。もしかして大宮か?」
事務A「埼玉地裁は、さいたま市にあります」
私:「へー そんな市あったのか。知らなかった~」
事務A「埼玉県なのだから、さいたま市あるに決まっていますよ」
私:「兵庫県の県庁所在地、神戸だけど兵庫という地名を全国の人知らないのと同様な感じかな」
事務B「違います!埼玉県にはきちんとさいたま市があって、そこの県庁があるのだから、神戸の場合と違います」
事務員一同「Bさん、ナイス突っ込み。パチパチ」
私:「おーい。元々、さいたま市はなく、浦和市、大宮市、与野市が平成の合併でさいたま市が生まれたみたいやで」
事務AB「えー、ホントですね。浦和区、大宮区になっている」
私:「皆、全然、埼玉の事分かっていないね。こんな会話埼玉の人聞いたら、腹が立つんじゃないかな」
事務C:「ウチの旦那、埼玉出身ですけど、埼玉人は、そんな事昔から言われるの慣れていて、全く、気にならないそうです。ダさいたま。クさいたま。言われまくっていたみたいです」
私:「映画でそんなのあったね」
事務C「『翔んで埼玉』っていう映画です。でも、ホント、埼玉の人は、東京の人に何も言われても腹を立てないですが、千葉は、かなり意識していて、あそこよりはマシというライバル心があるようです」

埼玉の人ごめんなさい。茨木太陽平和な日、日常会話でした。

イチケイのカラス ②(2021.5.18)

 先週に続いて今週も観てしまいました。イチケイのカラス。
 楽しんだ人には申し訳ないが、今回は、法廷ものの原型をとどめないほど、ハチャメチャであった。柔道初心者がメダリストの柔道家に連続50本の背負い投げ食らった感じ。頭くらくらで思考がついていかない。ネタバレになるので、詳細についてのコメントは控えさせていただきますが、冒頭、自身の刑事事件担当弁護士が、再審請求の裁判官になるところから始まり、開始早々、背負い投げ、空中で二回転して、叩き付けられた感じです。何度も投げられては、叩き付けられるようなぶっ飛んだ展開が続き、あっという間にエンディング。
 クラクラ感抜けきれぬ間に、このブログ書いています。
 こんな法廷もの見たくないという思いと、次回は、もっとハチャメチャなんだろうな、知りたいという思いが交互に襲ってきます。
 それにしても、高槻出身の黒木華の演技いいですね。

奨学金の保証金過払い

https://news.yahoo.co.jp/articles/9afaa3a276564bd779828c52fa26e44d897b9518

重要な判例がでました。私は、以前から、保証人を強要する奨学金制度に疑問を呈してきました。特に、日本学生支援機構は、以前、実父母以外の者の保証人も要求してきました。これは、借りたら必ず返さなくてはならない、親戚に迷惑掛けたくないから、返せなくても、無理して返す必要があると強度のプレッシャーを与える制度です。
この制度では、親が連帯保証人、親戚の人などがなるのが一般でした。本人も、親も払えないとき、親戚の方が肩代わりするケースが多かったのです。
大学に入った甥や姪の奨学金の保証人頼まれると断りにくいですよね。
私が以前から指摘しているように、金融機関からの教育ローン名目の金融商品が出回っています。学生支援機構の場合、利息も少なく、返済資金が奨学金の原資になっていますので、返してもらえないと制度が成り立ちませんので、教育ローンとは違うところはありますが、若者に大きなプレッシャーと親戚間の亀裂の発生源となる側面があります。
最近は、金融機関が費用をもらって保証人になる形式の奨学金が増えてきています。いいことだと思います。当事務所では、金融機関の保証パターンの奨学金破産を既に何件も手がけています。20歳そこそこの若者が400万円500万円の奨学金負債を抱えている事は稀ではありません。卒業後安定した仕事につけるとは限らず、返済に窮することになりますし、結婚時、「えー そんなに借金(奨学金)あるのー!」っていう事にしばしばなっているようです。
 今回の判決は、法律用語「分別の利益」の解釈が問題となっています。
例えば、
① 主債務者100万円の債務 保証人B一人ならば、保証人Bは、100万円の支払い義務があります。
② 借主Aの主債務100万円 保証人BC2名がいるとすると、保証人は各一人に50万ずつの返済で足りるのです。債権者は、100万円全額の請求はできません。
③ 借主Aの主債務100万円 連帯保証人BC2名の時は、連帯債務者は、主債務者と同様の責任を負いますので、BCとも債権者に100万円の返済義務が生じます(債権者からすれば、どちらでもいいから100万円払えって事になります。
今回は、
③ B連帯保証人 C保証人の場合です。
 連帯保証人=主債務者と同様、と考えれば、主債務者と保証人パターン(①)なので、Cは全額支払い義務を負うことになります。
 しかし、そうなると 連帯保証人であろうが保証人であろうが、全額の支払い義務を負うことになり、区別した理由がなくなります。
 やはり、連帯保証人も「保証人であり」②のパターンの計算で、単なる保証人は、50万円の支払い義務に止まるというべきです。100万円払ったら払いすぎの過払いです。

今回の判例は、この当たり前の論理を認めたGOODな判例と思います。
多くの方が、保証人であるのに、全額の支払いを強いられたと思います。時効は、10年です。是非、身に覚えのある方は、弁護士にご相談ください。

ANA コロナ 夏冬ボーナス無し(2021.5.13)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9f9f7158d76e838a7c6d0d982b8a9a34e13abd23

このニュース記事を見て、本当に暗い気持ちになりました。
 航空会社のボーナスカットと聞いて、2010年、JAL破綻時の従業員ボーナスカットの事を思い出しました。当時、JALのお給料は良くて、高給ボーナス払いを前提とした高額住宅ローンを組んでおられた方も多かった様です。ボーナスカットとなったことで、たちまち、住宅ローン返済計画が狂って、住宅を手放したり、個人再生の手続きをとった方も多くいました。
 私も一件扱いましたが、家族も含めて、大きな覚悟を持って、生活レベルを落とすことを余儀なくされました。
 今回の事で、少なからずの人が、このような状況を強いられることになるのではないかと思います。
先日も所用で飛行機を利用したのですが、ガラガラの飛行機で、一生懸命お仕事されていました。
緊急事態宣言も延長となり、どこまで、延長が続くのか、全く、予想がつきません。昨年4月の緊急事態宣言からこの1年こんな状態が続くとは、皆、思っていなかったと思います。
 早く、ワクチン摂取が行き渡り、また、楽しく飛行機に乗って、出張や旅行に出かける事ができるように、心から切望します。

「X*0=0 なぜ0を掛けたら0になる?」(2021.5.12)

「X*0=0 なぜ0を掛けたら0になる?」

前回の0÷0の回答の中では、「0を掛けたら0になる数字は無限」という事が前提でした。
改めて、何故、0を掛けたら0になるのでしょうか。
分配の法則を使って説明できるそうです。
分配の法則? A(B+C)=AB+ACですね。ですね。中学で散々習いましたね。回答のミソは、0=(1-1)に置き換えることです(まあ、2-2でもいいのですが…)
X*0=X*(1-1)
=X―X=0
成る程…0になる。

うーん、お金を出資して、1倍、2倍になるというのはイメージしやすいですが、お金を0倍で貸すってイメージしにくい。
お金を借りるとき、「ちゃーんと0倍にして返すから、お金貸して」と言った場合、詐欺になるのかな?難しい問題ですね。

「0÷0」(2021.5.11)

「0÷0」

数学的に0では割ってはいけない事の例外として0は0で割ることができます。
理由は、以下の式です。
0÷0=X
0/0=X
分母消すべく両辺に0掛けます
0*0/0=0*X
    0=0*X
 どんな数字も0を掛けたら0になります。Xの数字は無限にありますね。
 答えは「無限」との事です。
リンゴで例えると… 分かりません… 無い物を0人で分ける…
うーん… 私的には、「アホなこと考えるの止めなはれ」が答えです。

「1÷0」(2021.5.10)

YouTubeネタです。

1÷0 は、答え無しレベルではなく、数学的にはしてはいけない事だそうです。
1÷0=X
1/0=X
分母を消去すべく両辺に0をかけます。
0*1/0=0*X
  1=0*X
  0をかけて1になる数字は存在しません。だから、数学では、0で割ってはいけないそうなのです。

まあ、普通に考えても、10÷5は、「10個のリンゴを5人で分ける」でイメージできますね。
じゃあ、10個のリンゴを0人で分けたらどうなるでしょう。分ける対象がいない!話が無茶苦茶になりますね。

TVドラマ イチケイのカラス(2021.5.7)

今、裁判官をメインに扱った「イチケイのカラス」というドラマが視聴率好調の様です。「イチケイのカラス」は、週刊モーニングに連載されていました。そのドラマ化です。
私は、何十年も週間モーニング読者ですので、この物語は、既に漫画で読んでいます。漫画は、新米裁判官が主人公で、一見いい加減に見える弁護士出身の先輩裁判官を小馬鹿にするのですが、最後この先輩裁判官が、鋭い切り込みをし、それに対して感心するという内容で、それなりに面白かったと記憶しています。
GW中、弁護士仲間4人で見ました。医療ドラマに対して、医者が突っ込み入れるように、法廷物のドラマはに対して、我々も突っ込み入れながら楽しみます。多少の事は目をつぶり、一般の方と同様ドラマを楽しみます。
見てみると、タイトルは同じではあるものの、登場人物も含めて、内容は、全く違う別物でした。法廷ドラマというより、刑事ドラマと法廷ドラマを合体させた、我々の司法概念崩壊させる内容です。捜査した側が最終判断を下すという現代版「遠山の金さん」「大岡越前」ですね。裁判官がいきなり、「職権を発動します!裁判所主導で捜査を行います。現場検証を行います」(このドラマの桜吹雪的決めセリフ)
と言って、書記官も含めて捜査し出すことにはびっくりした。また、私が見た回では、食い逃げ詐欺事件の犯人が業務上過失致傷事件の目撃者であるという事で、併合審理にしていましたが、もう裁判官無茶苦茶のやりたい放題です。
複雑な司法手続きより、こっちの方が、単純明快で、視聴者としては、ドキドキ感があって、楽しめるでしょうね。まさか、これが司法手続きと思う人はいないでしょう。証人が、法廷で「あなたが真犯人だ!」とされるドラマのお決まりのパターンは、きっちり踏襲しており、胸がスカッとしますね。
その他、気付いた、お約束の突っ込みを列挙します。
① 東京地方裁判所の入り口の看板が、札に書かれて、ぶら下がっています。これだと昭和の職員室看板ですね。
② 裁判官室と書記官・事務室が同じ。部屋にロフト階段みたいなものがある。まるで、会社のフロアの様。実際は、裁判官室と書記官室は、別になっています。勿論、部屋の中に階段などありません。
③ 合議に、書記官や事務官も加わって自由に意見を言っている。裁判官の合議に書記官や事務官が参加することはできません。
④ 法廷に窓がある。法廷に窓があると脱走や、凶器になるので、実際は、窓はありません。
⑤ 部長が右陪席で、裁判長が若手という構図は、実際の合議体ではありません。
⑥ 書記官が事件担当外れたと言うことで、証人として出廷していましたが、「いやいや、そういうところが問題なのでは無く…」

 おかしなドラマですが、面白いので次回も見てしまいそうです。国選弁護人は、やる気がない弁護士として描かれているそうで、国選事件を熱い心でやっている友人弁護士は、「こりゃ無いよー」と嘆いていました。大阪の国選弁護人、多くの場合、すごく真面目に取り組んでいますこと付け加えておきます。

ps、堅物女性裁判官役の黒木華さんは、高槻出身で茨木の高校に通っておられました。私は応援しています。