このコーナーでは、阪神タイガース所属選手の契約交渉代理経験が豊富な黒田弁護士が、阪神タイガースやプロ野球に関する小ネタをご紹介しています。
さて今回は・・・。

年俸更改シーズン

連日、プロ野球選手の契約更改のニュースが流れます。誰が幾ら貰うか、一般人からすると自分が払うわけでもなく、本来、どうでもよい話の筈です。

しかしながら、やはり、人の財布は気になるもの。各人がまるで各球団のGMの様に批評をしています。(大抵は、「やりすぎや」という妬みが入ったものですが…)

一般の人と違い、選手は、生活がかかっています。選手間では、もっぱら、年俸が話題となります。選手のロッカー室では、どう言われて、どう反論したか、今年の傾向はどうだとか、その話で持ちきりですし、本人の頭の中も、慣れない交渉をどうするか、悩みで頭一杯です。

今年、ロッテが、複数の選手が下交渉で「一律25%減からスタート」と言われ、選手会が抗議文を送る事態となりました。

言った言わないの水掛け論になってきていますが、私の目から見ると、両者の交渉に於ける「ハッタリ」だと思います。

球団側としては、今年、試合数は確保できましたが、観客数が制限されていました。応援も声出しや密になること禁止で、マスク付きでは、飲食もままなりません。当然、売り上げ大幅ダウンです。財源が例年よりも少ないこと明らかです。それを分かってくれよ。どうしても、査定厳しくなるよ。というパフォーマンスで、「25%減」が基本と言ったんでしょうね。「本来、予算上、もっと少なくしないといけないところ、今回は、君の功績を評価して〇〇万円だ」という作戦だったのでしょう。

交渉のプロの弁護士は、そんなブラフのお話は、「あ、そうですか」と聞き流し、本題の交渉に入っていきます。

ところが、選手は、基本、単純な思考をします。特に年俸に関しては、頭の中は、鬼滅の刃「猪之助」並に、ブシューと激情反応します。

選手会は、球団の失言に対して、これを公にして詰問し、マウントをとろうとします。

所詮、両者の駆け引きです。落ち着くところに落ち着きます。周りが騒ぎ立てる事も無い話だと思います。