このコーナーでは、阪神タイガース所属選手の契約交渉代理経験が豊富な黒田弁護士が、阪神タイガースやプロ野球に関する小ネタをご紹介しています。
さて今回は・・・。

森唯斗選手(ソフトバンク)のナックルカーブ

日本シリーズ第3戦 ノーヒットノーランを逃した時投げた森選手のナックルカーブ、エグい曲がり方していましたね。それを打った丸選手も大したものです。
私は、無回転の「ナックル」と回転球の「カーブ」がどうして結びつくのか不思議でした。どうも、通常のカーブの握りから、人さし指の指先(もしくは爪)をボールの縫い目にかけ、カーブのような投げ方をするようです。握りが、ナックルとカーブの両面を持っていることからナックルカーブという名前が付いている様です。ナックルは無回転の揺れるボールですから、実質は、カーブということでしょう。縫い目に人差し指をかけることで、ボールに指が引っかかり、カーブの抜く感覚よりも、強い力が加わり、カーブよりスピードが出て、曲がりも大きい様です。カーブの投げ方を安藤コーチに聞いた事があります。「空手チョップ」と言う表現をしていました。確かに空手チョップは、少し指を曲げて、振り下ろします。その感覚で、親指と人差し指の間をボールが抜けて行くのでしょう。
 カーブとの大きな違いはスピードだ。「ナックルカーブの方がスピードがある。普通のカーブであれば100から120キロぐらい。ナックルカーブの場合は120キロ台後半から130キロ台を投げる投手もいる。“抜く”カーブではなくて、しっかりと(指や爪にボールの縫い目を)ひっかけて投げる形なのでスピードが出る」との事。カーブのように緩急を使ってタイミングをずらすのではなく、スピードを保ったまま鋭く曲がることで空振りを奪いやすいそうです。それ故、決め球としても用いられるナックルカーブだが、その一方で制球するのが難しいと言われます。カーブは、人差し指と中指の二本の指で支え、力を伝えます支えていますが、ナックルカーブは、事実上、一本の指です。ちょっとした重心の違いで、球筋は変わりますから、動かす腕の中で、安定性を保つのは確かに難しいでしょう。元阪神の関本さんは、二軍時代に新人だった森選手のナックルカーブを体験しているとの事。「すごい球投げる選手だな。先行き恐ろしい」と思ったそうです。