当事務所によく相談に来られる方に,ウチの事務所で「てーへんだおじさん」と呼ぶ方がいます。年に2回ほど,いつも「たいへんなことになった~」と死にそうな声で電話がかかってきます。予約時に相談内容を事務員さんに言いません。会って話したいと事務員さんに必死にうったえかけて,予約を無理やりとっちゃうのです。

相談内容は大抵の場合,心配するような事でもなく,私の答えは,いつも「弁護士要らない。放っておきなさい」 とても心配症で,ちょっと面倒な人です。でも,私よりずっと年上の方なのですが,それなりに愛嬌があって,私も会話を楽しんでいるところがあります。仕事も立派に現役でされていますし,元来頭の良い方なのですが,話がなにせ大きいのです。1999年ノストラダムス大予言のとき,この人どうしていたのかなと思ったりします。

本日も,現れました(笑) 以下,落語の様なお話がつづきます。水戸黄門に出てくる八兵衛のごとく,スタートは「てーへんだ(大変だ)」で始まります。

「なんや~ あんたかいな」「あんたの話は,いっつも大げさやからなー,ところで前の時の件その後どうなったの?」

「はい,先生の言う通り,放っておいたら,上手く好転していい感じになりそうです」

「でしょ。で,今日は,どんな話?」

「それが,今回は,ホント大変な話なんです。弁護士から5500万円請求されたんです」

「は?あなた,そんなに大きな事件抱えていたの?」

「いえ,前回,先生に相談して,放っておけと言われて,心配になって別の弁護士に相談に行ったんです。そしたら,何か書類に名前書いて…たぶん依頼することになったんです。」

「へー あの件で弁護士受任ねー」

「事態に変化あったら電話するように指示されていたのですが,その後,先生の言われるような流れになって,依頼する必要がないと思って,断りの電話を入れたんです。そしたら,請求書送るって言われて…」「届いたんです5500万円の請求書ファックスが…絶対怒っているんです」

「で,その弁護士さんと話したの?」

「いえ,怖くて話していません」

「ファックスは,持ってきましたか」

「いえ,失くしました」

「は?それって,いつの話?」

「2週間前です」

「それで,今頃相談に来たの?」

「はい,そろそろ,何か行動を起こしてくるんじゃないかと思って…」

「んー その時,相談料払った?」

「いえ,依頼したので,払っていません お金は,断ったので払っていません」

「んー その5500万円というのは,おそらく,5000円の相談料+消費税で,間違って「万」が入ってしまっただけだと思いますよ」

「えー そんなあ,弁護士さんがそんな間違いするなんて,そんなことないでしょう」

「いえ,僕なんて,逆に,10万円のところを間違って,10円って書いちゃうこと よくありますよ」

「そ~~~なんですか!!そんなことあるんですか」

「いや,普通,気付くでしょ。元の請求書にある「万」消すの忘れたんだろうって」

「いやー 凄い,先生は,頭いい。なんでもお見通しなんですねー 凄いですねー」(凄いを繰り返す)

「いや,ワシ,全然えらくない。あんたがアホなだけや」

「あーそうでしたか」

お互い「あっはは」と大笑い。

その後も落語の様なお話が続くのですが,今日は,「時間とらせた罰や,この話ブログに載せるでー」で相談終了しました。