こんにちは、弁護士の鳥井です。
保険会社の一括対応
通常、交通事故に遭うと、警察へ届け出て、病院等で治療を受けます。
そして、その治療費は加害者が負担することが多いです。これを、保険会社の一括対応または一括払いといいます。
(時々、相手が保険使用を拒否する等して、自分で支払う場合もありますが。)
示談書の内容を見て・・・
怪我の程度に応じて必要な治療を受けて、相手と示談交渉して。事故から半年から1年後、ようやく納得のいく示談内容になり、相手から示談書が送られてきます。
読むと「既払い(治療費)○○円をのほか、☓☓円を支払う。」という内容で書かれていることが多いと思います。
既払いって?
これを見て「あれ?私治療費なんて相手からもらってないのに、なんで既払いってなってるんだ。もらってないのに、既払いって?」と思うことがあるかもしれません。
既払いにはこんな理由が!
これは少し理屈っぽい理由があります。
事故で病院で治療を受ける際、病院は「被害者」と治療契約を結びます。この時、治療費の支払い義務は「被害者」にあることになります(本来負担する必要のなかった治療をするハメになったから、相手に損害賠償請求できる訳ですね。)。
最初に書いた一括対応は「被害者の治療費支払い義務を相手が立て替えて、最後に既に支払ったものとして精算しましょう」というものです。
つまり、一括対応はあくまで被害者の代わりに立替払いをしているという理屈になり、相手からすると既に治療費は支払い済みということになる。だから、示談書のように相手から治療費を受領した訳ではないのに「既払い」として扱われるのです。
被害者と加害者の意識の違い
事故を起こした相手が負担するのが当然という被害者の意識と、本来被害者が負担するべき治療費を立て替えているに過ぎないという相手方の意識の違いが、事故後の対応を煩わしくしている一因なのかもしれませんね。