前回、古潭らーめんVIP達成のブログをアップしましたが、読者は、皆思っているはず。「正に経営陣の思う壺」と…。
確かに、今回の古潭らーめんさんの企画は、素晴らしいマーケティング感覚に基づくものだと思います。(古潭さんには、一杯食わされたと言うべきか…笑)今日は、ラーメン業界について語りたいと思います。
私は、以前、ラーメン屋さん関連の案件に携わった事があります。その時、業界の事情を知って、驚いた事の一つにラーメン一杯の原価(人件費、施設費等を除いた食材の原価)があります。鶏ガラ、豚骨等を店でコトコト煮て、秘伝のスープを作成していると思っていました。実際は、工場でスープが作成されている事が多いのです。特に何店舗も有しているお店は、工場でスープ作成された後、お店に運ばれると考えた方がいいでしょう。もともと、屋台で大将が一人で始めたラーメン屋さんも有名になれば、工場でスープも麺も生産されます。そして、その面白いところは、複数の店、ブランドを扱う工場があるという所です。店が工場を持つのでは無く、工場がいわばOEM生産しているのです。麺も店に合わせて、細麺、ちぢれ麺…と同じ工場が生産します。
ラーメンは、味が命です。お客は、自分の好みの味のお店に足を運ぶのであり、店で味が変わっては困るのです。同じ味をいつの季節でも、どの店でも供給することが求められます。お店で、コトコト一晩煮込むという事では、同じ味を作ることはできません。工場で、大量生産することで、コストを大きく引き下げる事ができます。工場では、味の達人が存在し、どんな味でも作ってしまうそうです。某屋台発祥の有名店のオーナー、「科学調味料使って、ウチの味出せるわけ無い!」と豪語していたのに、味の名人に自分の味を出されて、「おみそれしました」とのこと。私は、ラーメンの材料原価は、有名店でも、おそらく、20%以下では無いかと思っています。600円のラーメンなら材料費120円もしないと思っています。無論、高額な材料をトッピングに使えば別ですが…。
経営を左右するのは、やはり、固定費です。店の賃料、人件費がバカにならない。しかし、ラーメン屋さんは、レストランと異なり、一席にお客が滞在する時間がとても短い。回転率がとても良いのです。カウンター7席のみの店でも十分利益を出せるのです。一人500円でも一日30人で一席15000円(500×30)、一月、一席45万円。実際は、ビールも餃子も頼むので、一人の客単価はもっと上がります。固定費が安く済ませることができれば、とても儲かる商売なのです。行列のできるラーメン屋さんが複数店舗化しようとする気持ち分かります。
というわけで、今回私の獲得したVIP特典、飲食半額というでも、材料仕入れ原価を大きく下回ります。固定費は、売り上げにかかわらず、あまり変わりません。VIPの来店回数が増えるだけ利益が出るのです。安売りをあまりするとブランド力が下がり、全体の売り上げ自体が減る事になりますが、一年限定企画ですので、VIPメンバーそんなに多く出ません。そして、VIP期間も半年だけ。人間毎日ラーメン食べない。価格ブランド力は下がりません。
私は、この半年限定VIPというところ、なかなか消費者のツボを突いていると思います。せっかく獲得したVIP…半年しかないと思うと、やはり、お店に行く回数増えちゃうでしょ。
この企画、毎日、スタンプではなく、5の倍数日企画というのもなかなかです。ラーメン食するインターバル5日毎というのがなんとも言えない。普通、ラーメンは、月に1度や2度というのが多いと思います。それが、つい、50個のスタンプ求めて、5日や10日毎にお店に行ってしまう。
地元茨木は、どういう訳かラーメン店が増えてきました。立命館大学ができて、若者が増えたこともあるかもしれませんが、各店、経営者も比較的若く(頑固おやじではない)、かなり工夫しています。うどんや、蕎麦と違い、ラーメン屋さんは、各店強い個性を持っています。いつか、地元ラーメン屋食べ歩き企画をしてみようかと思っています。