会社との労使協定によって、法令上の有給休暇以外に、傷病休暇、通院休暇というのがあり、休業損害証明書にも「有給休暇」とは別途、「使途を限定した休暇」という項目があります。

「使途を限定した休暇」というのは、労働者への厚生事業的な側面があります。例えば、病気や怪我をした場合、有給休暇を減らさずに、安心して休んでもらい、元気に仕事に復帰してもらう。労災で怪我した場合、労災ではカバーされない休業補償(6割)に上乗せ給付を行う、労災支給まで時間がかかるので、通常通り、給料を支払うというものです。

この「使途を限定した休暇」に対する給付があると労災保険上、労災からの給付はもらった分減額されます。

例えば、15万円の労災休業補償がある場合に、「使途を限定した休暇」で20万円の給付があった場合、労災からの休業補償支給は0円となります。

労災保険は、会社で保証されない分を加入者の共同財産でもある労災資金で補償するという趣旨に合致しており、妥当と思うのです。

ところが、これを交通事故の様な第三者加害の話になると不合理な事が出てきます。

交通事故被害者の休業損害としては、既に、給付がある以上、なんらの損害はなく、加害者に請求することはできません。しかしながら、理論上、会社は、この労働者に支払った「使途を限定した休暇」分を加害者に求償することができます。ところが、多くの会社で第三者への求償規定を設けず、単なる従業員への厚生事業的扱いにしているのです。

これでは、本来、加害者が負担すべき交通事故により発生した損害を、会社が加害者に代わって肩代わりしていることになります。

民間企業ならこれも「企業の勝手でしょ」ということになりますが、公務員や多額の公的補助を受けている公営バスなどは、結局のところ、その財源は、税金ということになります。加害者の保険会社が負担すべき賠償を税金で肩代わりすることになります。

民間企業の場合、従業員の生活安定のため、会社が給料を従前どおり支払っても、相手から賠償を受けたら会社に返却するという制度になっていたりします。ところが、多くの公務員関係ではそのような制度にはなっていない。

この不合理な制度を改めるのは、市長や市会議員の役割ではないでしょうか。