交通事故にあった際、被害者が無職だった場合、休業損害は全くもらえないのでしょうか。
結論としましては、全くもらえないとはいえません。
自賠責保険や任意保険では、問答無用で「0円です」と言われます。
しかし、裁判で就職する意欲と可能性があるもの(失業者等)は認められる場合があります。
判例
(大阪地方裁判所:H9/2/21)
失業保険受給中の43歳の女性の休業損害について、失業前の収入および事故時の収入(化粧品販売・無申告)を考慮し、
女子労働者・学歴計年齢別40~44歳の平均賃金の基礎として算定しています。
(大阪地方裁判所:H10/1/23)
アルバイトを退職して休職中の26歳の女性の休業損害につき、退職した翌日に事故受傷した等の事情から、
退職前のアルバイト収入、月額16万円を基礎として算定しています。
(大阪地方裁判所:H17/9/8)
離職後、積極的に就職先を探していたアルバイトの男性被害者45歳について、事故前年の給与596万円を基礎として、
症状固定までの232日から職を得られるまでの相当期間
90日を控除した142日分、232万円を認定しています。
(大阪地方裁判所:/H17/10/12)
市立大学卒業後、アメリカ留学をしてMBAの資格を有する30歳男性被害者について、事故前に離職していたが、事故直前に就職先が内定しており、
年俸1500万円、成果ボーナス、ストック・オプション付与の内諾を得ていたこと等から、年収1500万円を基礎収入として、事故から61日間は100%、
その後の3ヶ月間は30%の休業として547万円を認定しています。
(名古屋地方裁判所:H18/3/17)
約1年半前に運送業を廃業して無職の62歳の男性被害者について、具体的な就職話があり、健康で就労意欲もあったこと、求職期間等を考慮して、
事故から3ヶ月後には運転手の仕事に就く蓋然性が高いことを認め、症状固定までの570日間、賃金センサス男性学歴計60~64歳平均の70%を基礎に493万円を認定しています。
以上判例のようなケースもありますので、事故にあった当日がたとえ無職であったとしても、自分は就職予定であったなどの証拠を持って戦って欲しいと思います。
しかし、働く気もない無職の方は、確実に認められませんのでご注意を(家事従事者としても当てはまりません)。