前回は、後遺障害別等級表の介護を要するものについて述べました。
今回からは、介護を常に要するもの以外について、述べていきたいと思います。
第1級1号 両眼が失明したもの
眼をカメラに例えると、眼瞼はレンズキャップ、角膜と水晶体は組み合わせレンズ、この 2 つはピント合せも担当しています。
瞳孔はシャッター、虹彩は絞り、網膜はフィルムの役目を果たしています。
イラスト(http://www.civillink.net/esozai/iryo.html#a1)参照
網膜に結んだ像は 100 万本の神経線維が束となった視神経を通じて
脳内の視覚中枢に電気信号で送信され、視覚が生じるのです。
眼球は頭蓋骨の洞窟の中に収納され、周りは脂肪のクッションで保護されています。
人間は全情報の 80 %を眼=視覚で受け取っています。
さて、眼の後遺障害ですが、大きくは眼球の障害と眼瞼(まぶた)の障害に区分されています。
そして、眼球の後遺障害は、視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害、眼瞼の障害は、欠損と運動障害に細分化されています。
ここでの重要なポイントは、外傷に起因する他覚的所見により、後遺障害の存在を証明できることが絶対条件となっています。
視力は、万国式試視力表で検査します。
失明の検査方法
失明とは眼球を摘出したもの、明暗を判断出来ないもの、ようやく明暗を区別出来るもののことで、矯正された視力で 0.01 未満を説明しています。
手動弁とは、被害者の眼前で手を上下左右に動かし、動きの方向をはっきり見分ける能力を言います。
指数弁とは、被害者に指の数を答えさせ、距離によって視力を表します。
1m/ 指数弁=視力 0.02 、50cm/ 指数弁=視力 0.01 に相当します。
暗室において被害者の眼前で照明を点滅、明暗をはっきり区別させる光覚弁(明暗弁)があり、いずれも失明の検査となります。
等級表で示す視力とは
等級表で説明する視力とは、裸眼視力ではなく、矯正視力のことです。
矯正視力とは、眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズ等の装用で得られた視力のことです。
但し、角膜損傷等により眼鏡による矯正が不可能で、コンタクトレンズに限り矯正が出来る場合は、裸眼視力で後遺障害等級が認定されています。
両眼の視力障害は、等級表の両眼の項目で認定します。
1 眼ごとに等級を決めて併合は行いませんので、ご注意下さい。
但し 1 眼の視力が 0.6、他眼の視力が 0.02 の場合は両眼の視力障害として捉えれば 第9 級 1 号となりますが、1 眼の視力障害とすれば、第8 級 1 号に該当します。
よって、この場合は第8級1号を認定しています。