前回、後遺障害等級についての表をまとめました。

今回より、各等級について、述べていきたいと思います。

第1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

脳損傷に基づく高度の片麻痺と失語症の合併、脳幹損傷に基づく用廃に準ずる程度の四肢麻痺と構音障害の合併により、

日常全く自用を弁ずることが出来ない、又は高度の痴呆、情意の荒廃等の精神症状により、常時看視を必要とする方のことを指します。

1)頭部外傷後の高次脳機能障害では、重度の神経系統の機能又は精神の障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要する方と読み替えます。

具体的には、身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要する方のこととなります。

2)神経系統の機能又は精神の障害は対象範囲が広く、低次・高次脳機能障害、外傷性てんかん、失調・めまい・平衡機能障害、脊髄損傷、

疼痛性感覚異常の RSD ・ CRPS ・カウザルギー、頭痛、外傷性頚腰部症候群、 PTSD 、パニック障害までの広がりがあります。

3)頭部外傷後の外傷性てんかんのため、常時介護を要するものは、第1級1号となります。

4)脊髄損傷のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作で、常に他人の介護を要するもの=脊髄損傷による四肢体幹麻痺のことであり、第1級1号が認定されています。

第1級2号 胸腹部臓器に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

重度の胸腹部臓器の障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を必要とし、

日常生活の範囲が病床に限定されている方を指します。また、胸部・呼吸器の障害に限られています。

第2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

脳損傷に基づく運動障害、失認、失行、失語のため、自宅内の日常行動は一応出来るが、

自宅外の行動が困難で、随時他人の介護を必要とする、及び、痴呆、情意の障害、幻覚、妄想、発作性意識障害の多発などのため、随時他人の看視を必要とする方を指します。

高次脳機能障害では、著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することが出来ず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている方のことです。

身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことが出来ても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことが出来ない方のことです。

第2級2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

高度の胸腹部の障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、炊事介護を必要とする人で、日常生活の範囲が主として病床にあるが、

食事、用便、自宅内の歩行など短時間の離床が可能であるか又は差し支えのない状態の方を指します。

胸腹部臓器の後遺障害では、1、2級を経験していません。

上位脊髄損傷 C1/2 の脱臼骨折を原因として、肋間筋及び横隔膜の運動不能による自発呼吸の麻痺が生じ、人工呼吸器を装着した被害者に第1 級1号が認定されていますが、

カテゴリーとしては、脊髄損傷に区分されます。