前回、法科大学院生は、大変であることをお伝えしました。
司法試験を受ける為には、法科大学院を卒業しなくても「予備試験」というものに合格すれば、司法試験受験資格を得ることができます。
予備試験というのは、旧司法試験に似ています。実務ではなく、法律的な知識について問い、択一式試験、論文試験、口述試験を経て、はれて合格となります。予備試験は、
本来の司法改革構想からすれば、極めて、例外的なものです。法科大学院で実務の勉強をした上で、司法試験受験するというのが大原則。実務的学習をしていない予備試験合格者が司法試験を受けるのですから、制度としては、元から大きな矛盾を孕んでいるのです。予備試験制度は、法科大学院に行く事が経済的にできない人、旧司法試験の残存者への配慮から設けられています。ですから、合格定員は、極めて少なく、制度当初は、100人台(合格率2パーセント以下)でした。
予備試験は、実は、司法試験よりも法律科目が多いのです。そして、知識の択一試験、論理的文書の作成能力の論文試験、臨機応変な対応能力の口述をクリアしてくるのですから、実力については、到底、法科大学院卒業生は、予備試験組に敵いません。司法試験では、予備試験合格者の殆どが合格します。法科大学院卒業生の合格率とは雲泥の差です。
予備試験合格者は、法律的知識が、しっかりしているし、難関の試験を挑戦クリアした根性がある者として、お金持ちの企業系大手法律事務所では、予備試験合格者を採用する方向に走ります。巷で言われている合格者の就職難とは縁遠い世界です。弁護士格差が言われている現在、お金持ちのブルジョア系弁護士(「ブル弁)と言います)になるには、予備試験合格が一番の近道でしょう。こうした状況ですから、予備試験受験者は、年々増え、合格者も、400人半ばまで増えています(合格率3%代)。
では、予備試験には、どのような人が受験しているのでしょう。実は、大学生、そして、法科大学院生が受験者の5割弱、合格者の8割を占めるのです。法科大学院を卒業せずに司法試験合格する事がステータスなのです。大学院在学中に合格できなかった人が法科大学院を卒業するのです。原則、法科大学院、例外が、予備試験という枠組みが逆転して、法科大学院は、予備試験の滑り止め扱いされています。
新人弁護士さんが、さらりと予備試験合格組であることを織り込んで自己紹介したりします。予備試験合格が、卒業大学よりもステータスがあるのでしょう。
こうした大きな矛盾があり、法科大学院人気は、低迷し、定員さえ確保できない大学院が続出です。後日、法科大学院は果たして必要なのかについて論じてみたいと思いますが、現状、お国は、ボロボロの制度に継ぎ足し継ぎ足しを行って、制度維持にやっきです。私には、改革という名のお役所の権限(利権?)維持をしているとしか思えません。官僚の世界は恐ろしいですね。