2019年3月に発表された、奨学金や教育費負担に関する労働者福祉中央協議会の調査によれば、奨学金の借入額の平均は324万3000円で、総額が500万円以上の割合が12.4%に達しています。毎月の返還額でみても、平均1万6880円となっており、中には毎月3万5000円以上返還しているケースもあります。
そして、厚生労働省が発表している令和3年賃金構造基本統計調査によれば、新規学卒者の賃金は短大卒で19万9800円、大学卒で22万5400円、大学院卒で25万3500円となっています。諸経費や税金などが引かれると、諸手当がなければ大学卒なら手取り17万円程度と考えられます。もし、社員寮などに入らず都内で1人暮らしをしていれば、家賃負担が発生します。東京ならワンルームでも7-8万円はするでしょう。大阪市内でも6―7万円位します。電気光熱費、携帯電話、WIFI代、食費一日2000円計算で6万円… 奨学金を返済する余裕はどこにあるのでしょう。
奨学金の返済が厳しい人には、返済猶予制度があります。しかし、免除がされるわけではありません。先送りに過ぎません。所得が上がれば、奨学金返済に回せるでしょうが、今の時代、所得が右肩上がりに上昇する保証はどこにもありません。
結婚相手が600万円の負債を負っているとしたらちょっとびびりますよね。
従前から主張しているところですが、私は、今の大学のあり方にとても否定的な意見を持っています。多くの大学が専門的教育の役割を果たしていません。少子化の下、大学側も学生集めに必死で、大学で学ぶのに適した人物かなど全く見ていません。新学部設立して定員増員ばかりしています。私の時代よりも少子化の今の方が大学の定員格段に多いなんて間違っています。
私は、YouTubeなどをうまく政府が活用し、資格試験制度を充実させれば、大学教育に頼らずともいい人材が世の中に沢山排出されると思っています。そして、資格をパスした人が入学できる国公立の学校を創設し、専門教育を充実させるのです。
奨学金を借りるときは、身内の保証人を立てるのでは無く、金融機関などの機関保証にすべきです。そして、社会に出た後、返済計画に無理を感じるなら、さっと自己破産すべきです。金融機関の安易に貸す姿勢、そして、その緩い貸し出しを前提に、学生集めをする大学の姿勢にを正すべく、自分の生活を犠牲にして、返済を続けるのではなく、返済しないという態度を選択することも大事だと思います。
勿論、借りるときは、「奨学金は、将来返します。大学でしっかり勉強します」と言って借りたのでは無いか。安易に約束を破るべきではない。と言う意見もありましょう。しかし、まだ、社会に出る準備ができていない高校生に、この不安を利用した奨学金を餌にした入学制度ですので、大学側、金融機関側が騙しているとも言えます。将来の為、未だ、財産が形成されていない若年段階で、自己破産を選択することは間違っていないと思います。
例えば、中野エリアの1LDKの賃貸マンションであれば、最も手頃な家賃でも月額10万円程度は必要です。そうなると、食費などを1日2000円程度の出費に抑えたとしても、奨学金や年金に充当できる経済的余裕はほとんどないと考えてよいでしょう。
挙げた都内在住の大学新卒で手取り17万円のケースでは、この平均額1万6880円であっても、ボーナスなどがなければかなり厳しくなるでしょう。