先日、弁護士会の子供の人権についての会合に参加しました。そのとき、高校の先生とのお話を聞くことができました。
現場で、高校生の貧困の問題に直面する先生の悩みを聞いて、深刻な問題と感じました。
大阪府は、高校の教育費無償化になっていますが、授業料だけでは、問題は解決しないのです。教材、副本や衣服等お金はかかるのです。現実、それが用意できない家庭がある。福祉で、それらの費用が支給されてもそれを生活費に使ってしまう親がいる。児童手当は、中学生までです。僅か1万円の児童手当も、貧困家庭にしては、大きなお金なのです。
先生方は、貧困家庭の高校生に、なんとか修学旅行を連れていってあげたいと苦心されています。私立高校の場合、修学旅行は、沖縄や北海道、遠方への旅行が企画されることが多いそうです。そして、修学旅行は、企画旅行なので一般旅行よりもかなり高額になる事情があります。入学時から、修学旅行費の積み立てを強制し、滞納する親と話し合ったりしているそうです。貧困家庭に於いては、修学旅行は、単なる旅行では無く、大きな意味を持ち、先生は、なんとか修学旅行に連れて行ってあげたいと思っています。
貧困家庭に於いては、旅行などする機会はありません。子供が旅行する場合、家族と一緒でないと旅行などできません。家族で旅行となると大きなお金が必要となります。修学旅行は、子供が一人で行く(一人分の費用しかかからない)ことができる貴重な機会なのです。貧困家庭の子供にとっては、人生初めての旅行かもしれません。親心としても、子供をなんとか旅行に行かせてあげたいという切実な思いが修学旅行にはかけられているのです。やっとの事で修学旅行の段取りをつけても、最後、こんな事…というエピソードも発生するそうです。そんなエピソードの1つを紹介します。大阪南部の高校の修学旅行で、伊丹空港集合にしました。親から伊丹空港までの交通費を学校負担にして欲しい、大阪南部から伊丹空港までの交通費が家計的に負担であるという要望を受けたそうです。
貧困家庭の高校生の問題は、深刻です。「親ガチャ」の結果がどうであろうと、子供が成育できる環境作りを真剣に考える必要があると思います。裕福な老人に予算を配分するのではなく、子育て環境にもっと国家予算を配分すべきです。