こんにちは、弁護士の鳥井です。
重度後遺障害における将来介護
例えば、交通事故に遭い、高次脳機能障害による後遺障害等級2級と認定されたとします。高次脳における2級は、『神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの』とされています。
「随時介護」が必要な状態とされていることからも分かるように、基本的には何かしらの介護が将来的に必要とされる状態にあります。
将来の介護費
弁護士の仕事は、この「介護」を金銭的にどう評価するのか、言い換えれば、将来介護費として相手にいくら請求できるのかを考えることです。
この問題は、被害者の状況それぞれによって異なるので、一概にいくら請求できるということを断言することは難しいです。
過去の裁判例等を見る限り、次の2類型に分けられるのではないでしょうか。
施設や介護サービスを利用する場合
この場合、実際にかかった費用等をもとに請求額を確定することが多いようです。例えば、月20万円の施設費が実費としてかかる場合、これを平均余命分請求することが考えられます。
家族で介護する場合
この場合、費用は基本的にかからないので、介護サービスを受ける場合よりも話はややこしくなります。というのも、家族介護を金銭的にいくらと評価するのかは個人の主観もあるため、客観的な基準がないからです。
結局、介護内容を良く聴取して、客観的に大変な介護をしている場合は多く請求でき、そこまで大変な介護ではない場合は少なくしか請求できないということになります。
例えば、着替え、洗面、食事、運動の介護が必要な人と、運動の介護だけで足りる人を比較したとき、両者を同じ金額と評価することはできないと感覚的にわかると思います。
感覚的なところを、金額という客観的数値に置き換えるのは大変ですが、金額的にも大きい場合が多いので、高い等級の場合の1つの山場とされています。