交通事故の世界では、過失割合は、別冊判例タイムズ 「過失相殺率の認定基準」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)を元に決定されます。
しかし、一般の方には、なかなか理解できないことが多いのです。
「相手が○○したから事故になった!相手が悪い!」→「だから100:0だ」と強行に主張される方がいます。
そんな方に次のような質問をします。
「青信号に従って交差点を通過中、対向車線から合図も出さずに曲がってきた右折車と衝突した場合、基本となる過失割合はどうなると思いますか?」
「青信号で安心して通行しているところに、指示器も出さないで突っ込んで来るなんて、たまったもんじゃない。もちろん、100:0!」と多くの方が答えられます。
答は、10:90が原則。 (もちろんそれに細かな修正が加わります)
こちらが制限時速15キロオーバーで10引かれて20:80。(15キロオーバーなんて、普通の車の流れに委ねていたらそうなっていますよね。)
100:0となる典型例は?
・信号待ちで完全停止中に、後ろから追突される
・相手がセンターラインオーバーしてきた
・自分が青信号で通過中、赤信号の相手が飛び出してきた
といった場合です。つまり、自分は安全運転義務をきちんと果たしていながら、事故に遭ってしまった、どうやっても回避できなかった場合といえるでしょう。
車に乗る以上、細心の注意を常に払いなさいというのが裁判所の考え方です。
相手も悪いが、こちらも細心の注意を払っていれば、事故は起きなかったのです。