9月11日16:00 本年度の司法試験結果が発表されました。今年の合格者は、1525人昨年より18人減ということで、制度発足時、合格者3000人目標とされていましたが、昨今の司法業界事情により、合格者1500人程度とすることが、既定路線になったものと思われます。合格者の方おめでとうございます。

 合格発表について、私の思い出話をひとつさせて頂きます。
どういうわけか、司法試験の発表は、昔から16時なのです。今は、試験の発表は、この1回だけですが、私の頃は、択一試験、論文試験、口述試験と合計3回の発表がありまして、発表当日、16時までの時間が長くて落ち着きませんでした。発表日など、全く、勉強する気にはなりません。何をしても「上の空」。誰かと会う気もしません。切腹を待つ赤穂浪士の志士の気分です。部屋の掃除をしたり、市民プールで、延々泳ぐということをしたりしていました。
当時は、択一試験や論文試験の試験結果は、FAXの印刷でした。メールも無い時代ですから、各発表会場に16;00少し前に、法務省からFAXが届くのだと思います。ですから、張り出した合格者の文字は、とても小さく、FAX特有の潰れたギザギザ文字でとても読みにくいのです(最終の口述試験発表は、法務省前だけなので、大きな文字)。ホント最初見たとき、「ちっちゃ」と思わずつぶやいてしまいました。
択一試験については、大阪の場合、関西大の正門前に張り出されていました。小さな掲示板に、人の名前がびっしり書いてあるので、近くに行かないと見えません。
関西大の場合、掲示板の前に,平たい大きな石がありまして、多くの人が、その石の上に乗って、目を凝らして自分の名前を探します。択一試験は、5人に1人の時代ですので、多くの人がその石の上で、がっくり肩を落とすことになります。受験生は、その石を「残念石」と呼び、何万人の「残念」との心の声が染みこんだ石として、恐れおののき、祟りを恐れて、通るとき、その石をなぜてお祈りしていました。
残念石は、今でも、改修工事がなされた関大正門前にあります。真正面の1メートル少しの平たい石です。

 論文試験の発表は、京都の検察庁の掲示板。択一試験の結果掲示板は、それなりの大きさだったのですが、論文では、小さな掲示板なのです、。紙に、僅かな人数しか名前がありません。大阪、京都の択一受験場の様子が浮かび上がります。100人の内3人程ですので「あんなにいっぱいいたのに、たった、これだけか…」という感じを受けました。

 実は、多くの場合、掲示板を見る前に自分の結果は、予想が付きます。先に合格を確認した人は、当然、他に誰が合格したかチェックします。合格したように見える知り合い(ニコニコしている)から、目をそらされた場合、「あ、名前無かったんだ」と、ドーンと沈んだ気分で、人混みの隙間から自分の名前の無いことを確認します。合格した知人の名前を発見したときは、同じ苦労を共にした仲間ですので、祝う気持ちと、自分が、取り残された様な妬む気持ちとが複雑に混ざり合った気持で、帰路につきます。暑さも和らぎ、少し、涼しい風が吹く、京都の夕焼けが今でも頭に浮かびます。

 口述試験発表は、東京なので、私は行ったことはありません。予備校や司法試験雑誌の会社に、1時間位すると情報が回り、電話をかけて確認します。「おめでとうございます」という声を今でも覚えています。間違いでは無いかと思い、違う所に,再び電話して確認したことを思い出します。

 司法試験は、私にとって、青春を費やした場で、高校球児の甲子園の様なものでした。合格発表の報道を見て、つい、あの頃に思いを馳せてしまいました。今年合格された方もそれぞれ青春の1ページとして、今日の日は、一生の思い出になると思います。残念ながら不合格だった人、もう、再スタートは始まっています。気分が乗らなくても、先ず、本を開くことを始めて下さい。