https://news.yahoo.co.jp/articles/9afaa3a276564bd779828c52fa26e44d897b9518

重要な判例がでました。私は、以前から、保証人を強要する奨学金制度に疑問を呈してきました。特に、日本学生支援機構は、以前、実父母以外の者の保証人も要求してきました。これは、借りたら必ず返さなくてはならない、親戚に迷惑掛けたくないから、返せなくても、無理して返す必要があると強度のプレッシャーを与える制度です。
この制度では、親が連帯保証人、親戚の人などがなるのが一般でした。本人も、親も払えないとき、親戚の方が肩代わりするケースが多かったのです。
大学に入った甥や姪の奨学金の保証人頼まれると断りにくいですよね。
私が以前から指摘しているように、金融機関からの教育ローン名目の金融商品が出回っています。学生支援機構の場合、利息も少なく、返済資金が奨学金の原資になっていますので、返してもらえないと制度が成り立ちませんので、教育ローンとは違うところはありますが、若者に大きなプレッシャーと親戚間の亀裂の発生源となる側面があります。
最近は、金融機関が費用をもらって保証人になる形式の奨学金が増えてきています。いいことだと思います。当事務所では、金融機関の保証パターンの奨学金破産を既に何件も手がけています。20歳そこそこの若者が400万円500万円の奨学金負債を抱えている事は稀ではありません。卒業後安定した仕事につけるとは限らず、返済に窮することになりますし、結婚時、「えー そんなに借金(奨学金)あるのー!」っていう事にしばしばなっているようです。
 今回の判決は、法律用語「分別の利益」の解釈が問題となっています。
例えば、
① 主債務者100万円の債務 保証人B一人ならば、保証人Bは、100万円の支払い義務があります。
② 借主Aの主債務100万円 保証人BC2名がいるとすると、保証人は各一人に50万ずつの返済で足りるのです。債権者は、100万円全額の請求はできません。
③ 借主Aの主債務100万円 連帯保証人BC2名の時は、連帯債務者は、主債務者と同様の責任を負いますので、BCとも債権者に100万円の返済義務が生じます(債権者からすれば、どちらでもいいから100万円払えって事になります。
今回は、
③ B連帯保証人 C保証人の場合です。
 連帯保証人=主債務者と同様、と考えれば、主債務者と保証人パターン(①)なので、Cは全額支払い義務を負うことになります。
 しかし、そうなると 連帯保証人であろうが保証人であろうが、全額の支払い義務を負うことになり、区別した理由がなくなります。
 やはり、連帯保証人も「保証人であり」②のパターンの計算で、単なる保証人は、50万円の支払い義務に止まるというべきです。100万円払ったら払いすぎの過払いです。

今回の判例は、この当たり前の論理を認めたGOODな判例と思います。
多くの方が、保証人であるのに、全額の支払いを強いられたと思います。時効は、10年です。是非、身に覚えのある方は、弁護士にご相談ください。