今月号の弁護士会の会報に、ある弁護士の懲戒(戒告)が公告されています。
不倫の慰謝料請求されている女性から委任を受けた弁護士が、慰謝料を請求している相手に対して、葉書で反論した案件です。葉書という第三者が目に触れる可能性がある方法を使った事が懲戒理由です。葉書に書かれている内容がかなり生々しいものだったことが推測されます(プライバシーや名誉を毀損する内容とある)。
何故、わざわざ葉書という手段を使ったのか不明です。葉書印刷は面倒、手書きならば、尚更です。葉書という手段を使ったとは、何らかの意図をもってのことでしょう。しかし、例え、同居者はおらず、目にするのは、守秘義務のある郵便局員のみだとしても、やはり、葉書というのは、やはりまずい。若い弁護士さんの様ですが、依頼者に傾倒するあまり、熱くなりすぎたのでしょうね。
実は、私も葉書を使うことはあります。主に、示談交渉の途中で、加害者と保険会社連絡取れなくなってしまう場合です。保険会社と加害者が連絡取れなくなることは、実は、よくあるのです。世の中、知らない電話に出ない。郵便物見ないという人結構いるのです。保険会社相手に裁判するという方法もあるのですが、それは最終手段です。私は、大阪、京都あたりですと、家まで行って、確認することをします(不在なら、名刺をドアに差し入れる)。遠方の人には、葉書に「交通事故の件で、保険会社連絡つかなくなって困っています」と敢えて、家人の目に触れるように送ったりもします。多重債務者である加害者が夜逃げをしてしまっていたところ、母親が葉書を発見し、加害者に連絡を入れてくれて、結果、加害者から保険会社に連絡が入り無事示談が成立したというケースがありました。
葉書を出すにしろ、名刺を挟むにしろ、家人が見つけてくれることを期待しているところがあります。このように家人の目に触れることを前提としていますので、葉書は、その内容、使い時は、慎重に検討しなければなりません。
不倫とか「性」に関わる事案で、葉書を使うのは、誰かに見られる可能性がある故、相手方に対する脅しや嫌がらせの側面を有します。そんな気が無かったでは済みません。弁護士は、品位を以て交渉しないといけないのです。