全国各地で弁護士の不祥事が記事になっています。弁護士会は、業務停止や戒告の処分といった懲戒処分を発表しています。
懲戒処分は、弁護士会の懲戒委員会というところで、審理がなされ、処分が決定されます。
実は、懲戒委員会の前に、綱紀委員会での審理があります。弁護士会には、大量の弁護士に対するクレーム(懲戒請求)がなされているのです。これを前処理して、懲戒審議の対象案件を絞っているのです。
実は、私は、現在、この綱紀委員会の委員なのですが、正直、とても辛い思いをしています。綱紀委員会に持ち込まれるのは、大量の一般の方からの弁護士の懲戒を求める請求書です。これを150人くらいの綱紀委員から2人ペアで割り振られ、内容を整理し、定期綱紀委員会で発表し、委員会決議が取られる仕組みになっています。この2人のペアは、片方が判決文の様な厳格な形式の審査案を作成し、もう片方がチェックする体制です。
何が辛いかというと、怒りに満ちた懲戒請求者が弁護士の不満をぶちまけるものですから、全く整理されていない、文章が大量に続く文章を整理しないといけないのです。通常の裁判官なら、双方、弁護士がついて、整理された書面を裁判官が判断します(何を言っているのか分からない、弁護士の文章が最近は多いですが…)。素人の特に、感情的に高ぶっている書面の解読は、無茶苦茶難しいものがあります。懲戒請求の殆どは、到底懲戒対象になるような話ではありません。裁判で負けた側の人が、相手弁護士に対して、「あんな嘘つきの相手の話を嘘と知っていて平気で主張することは、弁護士倫理に欠ける」とか、負けた側の依頼者が、怒りを相手から、(負けた無能な)弁護士に向け「負けたのは、弁護士の怠慢が原因だ」とか、「弁護士に〇〇して欲しい(多くは、意味がなかったり、違法行為)と頼んだのにとりあってくれなかった」といったものです。今挙げた例は、要約すればこういう事というものですが、実際の請求書は、時系列関係なく不満をつらつらと書かれていますので、何を言いたいのかさっぱり分からないのが多いのです。精神を病んだ懲戒請求の常習犯もいます。懲戒請求を受けた対象会員は、弁明書というのを出してきます。こちらは、弁護士の文書ですので、かなり分かりやすいですが、それをそのまま審理の文に落とすことはできません。担当委員は、審査案を作る際に、請求者の指摘する問題点を整理し、その判断を整理して起案します。すごいエネルギーを要するのです。
私は、1件処理するのに4,5日を要します。それが、2か月に1度(ペアの補助役も含めると毎月)回ってきます。私の通常業務の時間の多くを奪っています。綱紀委員の中には、鬱になる人もいます。私も分かります。記載されている内容が強烈で、まるで、自分が耳元でガミガミ怒鳴られている気になってしまうのです。綱紀委員は辛い。懲戒委員会は、綱紀委員のまとめられた資料を元に審理するので、かなり楽なはずです。誰かがやらなければならない役回りですが、私は、任期(私にとっては、刑期)を心待ちにしている次第です。
弁護士会は、弁護士の自主的運営で成り立っています。今の弁護士、お金にならない弁護士会の運営に加わることを避ける傾向にあります。一般の方にも弁護士会の運営の苦労の一面を理解して頂きたく、愚痴をこぼしたブログとなっています。



