https://www.sankei.com/west/news/201027/wst2010270031-n1.html

大阪弁護士会には、7つの会派があります。派閥とかの表現がなされたりもしますが、歴史的背景はいざ知らず、今は、単なる親睦グループです。大阪弁護士会の役員は、会派から人材が供給され、運営がなされています。会派ごとに、研修会や旅行、ハイキング、スポーツ会、出版、その他の企画があり、親睦と法律の研鑽を図っています。会費は、年間1万円数千円程度です。
 ある会派の会計担当弁護士が2000万円ものお金を引き出し、年度代わりの交代時期に、お金の填補がなされていることに、次年度会計担当者が気付き、大問題になりました。普通、一時的にでも会派のお金を自己資金の為に使うなど、絶対あり得ない話です。填補されたお金の出所が不明で、この事に、本人がきちんとした弁明を行わなかった事から、依頼者のお金を流用したのでは無いかという疑惑を払拭できず、会派から懲戒請求がなされました。今年の9月、大阪弁護士会で、退会命令処分が下され、事実上、弁護士として活動できない状態になっていました。
 10月27日、この弁護士、クライアントのお金800万円を横領したとして逮捕されました。弁護士会が危惧した状況にあったようです。この弁護士は、過去にも懲戒歴があります。受任していた事件を放置していた上に、事もあろうに、起こしてもいない訴訟の進行状況について、依頼者にウソを言っていたというものです。
 男女間の問題の訴訟なので、特に難しい問題もなく、サッサと訴訟進めればいい話なのに、事件処理を滞納していたということは、精神的に病んでいたのでしょうか?
 この話は、2014年~2016年にかけてのお話なので、その頃からおかしくなっていたのでしょう。
 でも、会派の役員となったということは、会派活動しっかりやっていたという事なので、本当に病んでいたとしたら、お声はかからない筈です。
 今回800万円の横領容疑の逮捕ですが、おそらく、余罪沢山あるように思います。少なくとも弁護士活動できなくなったのですから、現在、依頼しているクライアントの着手金の返還を受けることはないでしょう。預かり金等も使い込まれているかもしれません。とっくに事件終了してお金も入ってきているのに、知らされていないということもありえると思います(東京ミネルヴァ事件はこのパターンが多数)。
 
 さて、この会派、使い込みされたあと、填補を受けており、被害自体はありません。しかし、明らかにお金の出所は、一般市民の被害者のお金です。被害者感情としては、私のお金が弁護士の親睦団体に渡ったので、市民を守る弁護士なのだから、返すのが本筋だということになりかねません。
しかし、お金に印はついていませんので、会派としては、知らぬ間に勝手に引き出されたお金が、知らぬ間に返ってきただけです。会派がお金返却を迫り、優先的に返済を受けたわけではありません。法律的には、なんら問題なしということになると思います。
 後は、会派が道義的な観点からどういう対応をするか…。弁護士集団というのは、意見まとまりませんので、おそらく、何もないままだと思います。