前回、ロー生は、なかなか司法試験の勉強に集中できない厳しい環境にいることをご紹介しました。今回は、ロー生のお金のお話です。
旧試験時代は、大学3年生で司法試験を受験していました(理論的には、小学生でも受験可能)。大学在学中に合格というのも珍しくは無く、毎年、それなりの人数現役合格していました。しかし、現在では、司法試験を受けるためには、原則として大学卒業後、法科大学院を卒業しなければなりません(例外予備試験合格)。学費は、国公立で80万円程度、私立で150万円程度かかります。法科大学院は、毎日のスケジュールがかなりタイトですから、長距離通学なんて現実無理です。また、現在、法科大学院は、大都市に集中していますので、多くの方は、下宿を余儀なくされます。法律の専門書は、一冊5000円以上するのはざらです。かなり切り詰めても生活費に10万円~15万円は必要でしょう。無論、アルバイトする暇などありません。法科大学院は、どこも手厚い奨学金を用意しています。しかし、奨学金も所詮借金です。日弁連が2014年に採ったアンケートでは、弁護士登録時、借金400万円以上が46%、800万円以上が15%との結果がでています。私立で大学時代から奨学金を借りている人など、借金1000万円以上の人も珍しくはありません。新人弁護士さんから「弁護士としての最初の仕事を、自分自身の自己破産というのはどうかな?」みたいな冗談が出たりします。無事、弁護士になった者は、借金あってもなんとかそういう冗談を言って、明るく返そうという気持ちにもなるでしょうが、結局、合格できなかった人にとっては、極めて酷な借金です。現実、自己破産という方法を選ぶ方もいる様です。ただ、保証人付きの奨学金の場合、人に迷惑をかけるので、破産もままなりません。お先真っ暗の地獄です。
卒業すると70%が合格という触れ込みで始まった法科大学院には、多くの方が仕事を辞めて入学しました。安定した立派な職に就いていた人もいると思います。前回書いたように、ローは、雑用で忙しいので、ローで実体法の勉強深めるのは難しいのです。基礎ができていないと何も身につきません。仕事辞職入学組の合格率はかなり低いのが現実です。お国のウソの扇動に乗せられて悲惨な結果だけが残ったという事になります。これじゃ、戦前の国の満蒙開拓団募集事業と変わりません。
 またの機会に、法科大学院が必要なのかのテーマで、アップしたいと思いますが、私は、法科大学院は全面廃止すべきと考えます。旧試験時代も、いろいろお金はかかるものでしたが、お金が無いなりの方法があり、仕事やアルバイトをしながら、長期受験も覚悟の上の自己責任で勉強をすることができました。今の制度は、受験という道を通るためにお金を取る関所が設けられている感じがします。司法試験受験界は、楽市楽座であって欲しい。