韓国は、尹大統領弾劾裁判を巡って、右派左派は、互いにデモ行進するなど、さかんに争われています。

先日来、ご紹介しているYouTubeの様に、左派の問題点が指摘され、今では、右派が現在、かなり盛り返し、世論調査では、弾劾反対も過半数に迫る勢いです。

ただ、法律家の観点からは、やはり、弾劾は認められる結果になるのではないかと思います。弾劾裁判は、刑事裁判ではありません。刑事訴追されている内乱罪に該当しなくても、弾劾は成り立ちます。単純に、大統領が、憲法や法律の規定に違反する行為を行えば、法律を犯す人物は、大統領にふさわしくないと弾劾は成立するのです。

大統領が戒厳令を宣布する過程での手続き上、憲法条項が定めた条件を守ったのがが審理の対象です。

そうすると、今回2つの事が問題となります。

① 先ず、形式面として、きちんと手順を踏んでいるのか。戒厳令を宣布するには、憲法上、国務会議(閣僚会議)の審議を経て、会議録が作成され、参加した国務委員の署名がされ、発布という手続きを経る必要があります。手続きを踏んでいない憲法違反となります。
② また、実質面として、戒厳令の発令ができるのは、あくまでも、「国家非常事態時」です。国家非常事態というのは、通常、戦争とか内乱の様な場合です。

「国家非常事態」の概念を憲法上どこまで広げることができるのかということが問題となります。

①の点では、どうも、十分な閣議が開かれず、「審理」を経ていない様な雰囲気が伝わってきます。

②の点では、巨大野党の横暴というのまで、「国家非常事態」といえるのか。横暴があっても、それは、民主制の中で解決できる問題(将来的な選挙)ですから、国のシステムを停止する戒厳令を正当化できるような非常事態とはいえないでしょう。

今、与党が一生懸命主張している、不正選挙で民主制が破壊され、民主政のシステムでは解決できない非常事態というのは、理屈的にはとおりますが、明確な証拠がない以上、乗り越えるには、なかなかハードルが高いと思います。

こう考えると、法理論的には、弾劾成立とならざるをえないと思います。①②以外は、結論に結びつかない無駄な議論ですから。

ただ、野党の横暴、司法への不信材料からすると多くの国民が結果を簡単に受け入れることはできないでしょうから、大波乱が起きるのではないかと思います。国民感情が国政を動かす国ですので、この先、どのような結果に落ち着くのか全く予想がつきません。