前回、親子関係DNA鑑定で覆すことができないとの最高裁判例のお話をしました。
では、DNA鑑定上、父親で無いことがはっきりしても、親子関係を解消すること、全くできないのか?裏技はないのか?
というと無いことも無いのです。
 最高裁判例は、離婚後、母親と子供側が親子関係不存在を主張し、他方、元夫側は、親子関係の継続を望んでいたという事で争いになっていた事案だったのです。
争いの事案では無く、皆が合意していた事案迄を範疇に置く判決ではないと解釈を加える余地があります。最高裁の判決の趣旨に、当事者が否定している様な場合のみ、裁判所が介入して、親子関係を解消するような事はしない。皆が了解しているような場合は、実際の親子関係を優先すべきと解釈することは可能な様に思えます。
実際、家庭裁判所の実務では、当事者間に争いがない場合には、「親子関係不存在確認調停」という家事調停の手続きのなかで、合意に相当する審判がなされ、その審判を基に戸籍を訂正するといったケースがしばしば見受けられます。
ただし、最高裁判決についての解釈は、裁判官によって異なります。最高裁の言う子を巡る法律関係の安定との発想からは、当事者間に合意がある場合でも、当然に及ぶ。だから、「親子関係不存在確認調停」が認められないとの考えに立つ裁判官もいることでしょう。絶対に、合意をすれば、認められるというものではありません。