30代男性 アルバイト
事故態様:125CCバイク対トラック
獲得等級:併合8級


バイクを運転中、信号の無い交差点で、一時停止線無視して、高速で優先道路側に進入し、トラックと衝突、大怪我を負った案件です。
バイク側に過失が大きい案件として、相手トラック側は、対応をすることを拒否し、トラックへの賠償問題と長期の入院に対する医療費をご自身で負担しておられる方を知人が心配して、当職を訪れました。入院中は大変でしたが、回復状況は極めて良好でした。後遺障害は微妙なラインのものが多く、その申請には、かなり注意を要し、慎重に臨みました。結果、併合認定の2階建てで、8級という、実際の日常生活状況に比するとかなり過大ともいえる等級の認定がありました(939万円確保)。後遺障害認定のポイントを突いた結果と思います。大きな成果でした。トラックの賠償もかなり減額しての解決となりました。

今回、ご紹介したいのは、ここから先のお話。保険の知識が無い弁護士さんなら見落とししていたところです。
この方は、過失割合が極めて大きく、相手への損害賠償は、自賠責の範囲を超えることはできないものでした。ただ、親御さんが、人身傷害保険の「車内・車外ともに補償タイプ」に加入していました。この保険は、契約者の「ご家族」にも適用があります(〇)。そして、契約の車以外の「他の自動車」搭乗中の事故にも適用があります。勿論、自動車にはバイクも含まれます(〇)。
しかし、「他の自動車」は、契約車両以外ではダメなんです。「他の」は、契約者の家族以外でないとダメなんです(▲)。なんだか複雑ですが、家族が全く赤の他人の車で事故した場合に人身傷害保険適用がる事覚えておいてください。
考えてみれば、当たり前です。一家に複数車があっても、一台に人身傷害保険特約付けたら家族の所有する車も補償されるとすると、人身傷害保険は補償の範囲が広いので、保険会社想像もつかない範囲の責任を負う可能性があります。人身傷害保険は、家族の車であっても基本各車に人身傷害保険を付けるべきです。全く赤の他人の車を乗るケースは少ないからこそ、保険の対象としているのです。
本件は、少し複雑な事情がありました。

  1. 古い125CCバイク、ナンバー登録はA君(既に死亡)
  2. 本来の所有者は、B君
  3. 自賠責保険の契約者は、今回の依頼者X君(自賠責保険は、他人のバイクにもかけることができる)
  4. バイクは、長年、今回の依頼者Xの借りている倉庫に保管
  5. 税金は、誰も払っていない状況。A君は、既に死亡しており、A君の家族は、バイクが手元になくて、ナンバーの返還ができず、税金は、支払い免除状態が続いていた。
  6. 本人は、当初、保険会社に所有者を聞かれて、説明が面倒なので、「自分が所有者である」と答えていた。

本件のバイクは、古いバイクで財産的価値がなく、誰もが所有権の意識が薄れていましたので、「他人の」が極めて曖昧で立証に苦労しました。実際、本人が、当初、自分のバイクと答えた事情もあり、保険会社は、当然、支払いを拒否してきました。
結局、2年の時間を要しましたが、「他人」性が認められ、700万円強を獲得することができました。自賠責と併せれば、1640万円を超えます。
本人は、事故当初、自身が悪い事故で、バイクは、自賠責のみなので、相手のトラックの賠償問題もあって、とても悩んでいましたが、全く、予想もしない金額を得ることもでき、物損も無事解決できて、とても喜んで頂けました。この補償金を利用して商売始められた様です。本当にいい解決でした。