【事案の概要】

  • 自転車VS車
  • 鎖骨遠位端骨折
  • 50代 男性 会社員

最近は、自転車を趣味にしている方が多いですね。そんな方に多い事故での負傷は、ずばり、鎖骨骨折です。特に、鎖骨の遠位端骨折は要注意です。

鎖骨の遠位端とは、鎖骨の一番外側です。肩甲骨とのつなぎ、肩鎖関節に近いところですから、肩の上げ下げに大きな影響を及ぼす可能性があるところです。

多くは、プレートを入れる手術をして、骨折部を固定し、筋拘縮が発生しないよう早期からリハビリに励むことなります。

その他に、骨折の程度が軽い場合、手術ではなく、クラピクルバンドという肩を固定するバンドで肩部を固定し、自然な骨癒合を図るという治療法が取られることがあります。まあ、三角巾みたいなもので、腕をずっと吊るして、骨がくっつくのを待つという治療法ですね。

ところが、このバンドで固定する方法は、私の経験では、安静期間が長く、肩の拘縮を発生することがしばしば起こります。骨融合後に、しっかりリハビリをすれば、可動域も回復していくのですが、ある程度、固まった段階でのリハビリは、大きく痛みを伴います。病院側は、患者が痛がっているのに無理に動かすとクレームの元になりますので、適当なリハビリで終わらせる傾向にあります。本当のリハビリは、大きな痛みを伴うものです。患部に注射を打ちながらでもリハビリが必要です。

後遺障害認定では、リハビリ不足は、後遺障害の可動域制限の評価にマイナスに動きます。完全な筋拘縮が発生していれば別ですが、そんなことは、極めて稀です。頑張れば、動くはずだ、少しずつでもこれから可動域広げる努力をすれば、上がる筈だという事になるのです。

相談者は、後遺障害が非該当になってから当事務所を訪れました。

結果は、私も、二度の異議申立するなど、努力をしましたが、非該当認定を覆すことはできませんでした。

ただ、身体状況確認、セカンドピニオンを私が懇意にしている医師にお連れしました。そのとき、その先生は、肩を上げるとき、痛がる相談者に対して、笑いながら「そりゃ、痛いわな、でも、もう少し辛抱、ほれ、あともうちょい我慢して、それっ」と肩を上げる作業をされました。

すると、肩が、90度しか上がらなかった肩が、160度くらいまで上がっているのです。

相談者自身も驚かれていました。「ここまで、腕が上がったのは、事故以来、1年ぶりである」とおっしゃっていました。

残念ながら、後遺障害認定には至りませんでしたが、将来の可能性を理解して頂けました。今後、病院に行かずとも、ご自身で、ストレッチなどの訓練をすれば、徐々に可動域は広がる筈です。お相撲さんの股割りの如く、日々の訓練が大事です。

しかし、本件でも、事故直後に相談に来て頂ければ、おそらく、最低でも14級9号、12級も十分狙えたと思います。後遺障害認定の為のチェックポイントが事故発生直後からあり、医師任せにすることは危険。是非とも、早めのご相談頂ければと思います。遠方からの電話相談も可能です。