- 50代 女性
- 高次脳機能障害の事案
施設内歩行者(X子 女性 50代)、外部業者のYトラックと衝突、頭部外傷を負い、高次脳機能障害となる。表情はあるが、自らの論理的意思を発することはできない。後遺障害等級1級認定となる。
お子さんはおらず、実弟のAが頻繁に姉Xの病院、施設に見舞いに訪れ、声掛けなどしていた。Aは、目が不自由で、事故前に姉にいろいろ助けてもらった思いがあり、寂しい思いをさせたくはないとの思いで、頻繁に見舞いに訪れていた。
高次脳機能障害者には、成年後見が付され、被後見人の支出が管理される。親族のお見舞い交通費などを支出することはできない。そこで、当職としては、近親者が独自に得られる近親者慰謝料名目での将来交通費の支払いを交渉段階から求めていたが、交渉が妥結せず、裁判となった。
裁判所も将来の交通費を認めない、近親者慰謝料も低額な過去の判例どおりの金額の和解を勧めてくるも、これを拒否。尋問に至る。姉弟の特別な関係等特別事情をアピール。
尋問後、裁判官も一部認め、赤本、みどりの本基準よりもかなり増額した再和解案が呈示され、示談に至った。
被害者介護は、施設がみるから、見舞いは特段必要なものではなく、賠償の対象にならないというのが原則とされる。しかし、寝たきりになった患者の見舞いに対する一定額の交通費の補償は必要であろう。受け入れ施設が家の近くにあるケースは少ない。交通費は馬鹿にならない。家族として放っておくことはできない。ある程度の補償は必要であると私は思う。
本件は、病院の問題点が多く(回復見込みのなり高次脳機能患者は、病院のたらい廻しに遭う)、後遺障害等級申請手続きに多大なエネルギーを要した。大変な事案であったが、家族の熱い想いにどうしても答えたかった。



