依頼者は、バイクでの通勤途中、渋滞中の道路をセンターラインオーバーして、追い抜いていた。たまたま、見通しの悪いカーブで、対向車線のバイクと正面衝突。当方は、大怪我で、手術中に心臓が3回も停止する大手術。意識不明一ヶ月。

もちろん、正面衝突で相手被害者も怪我をして、バイクは、全損。こちら、低所得の中年独身者で、貯金もなく、保険も自賠責保険のみ。相手への賠償能力ありません。今回の事故で、視力障害が残り、トラック運転手の仕事ができなくなりました。被害者は、加害者と話してもラチがあかないので、高齢の加害者親に、賠償を求める行為に出た事で、当職受任。

通勤中の事故なので、幸い治療費と休業補償を労災から受け取ることができて、生活を維持できていました。当初は、労災の高い後遺障害を取って、賠償に充てる事を意図していましたが、途中、失業となり、賠償に充てるどころでは無くなりました。そして、もともとのカードの負債もありました。

相手の弁護士には、労災給付金は、破産法上、破産しても給付を受けることができるものであるので、被害者には、申し訳無いが、破産を検討している。破産費用に充てる金額での示談を考えて欲しい。0円か低額賠償かの二択です。弁護士としては、依頼者守るのが責務なので、加害者が「破産するぞ!」脅すような物言いで申し訳ない。と伝えた。

結局、破産費用にほんの少しだけ上乗せしたかなりの低額での示談で終了しました。

その後、労災での高い後遺障害等級を得ることに成功。かなりの金額を手にする事ができました。

労災給付金が入ってからでは、破産上守られません。後遺障害申請する前の示談交渉がポイントです。

被害者の方には申し訳ないが、依頼者の生活を守るのに最大の努力をするのが弁護士の責務です。被害者の方、私を恨んでいるでしょう。しかし、どうぞご理解くださいますよう。