40代女性 会社員
自転車vs車 T字路での衝突 通勤災害


当初、軽症だと思い、物損で届けていた事案。しかし、1週間しても、手首の痛みが引かず、病院で診察。MRI検査の結果、TFCC損傷の診断となる。
スポーツ治療で有名な病院に転院し、手術を受ける。
ところが、保険会社、手術後、手を使う仕事をし続けることができず休職するも、保険会社がTFCC損傷を否定し、手術代の返還までは求めないが、これ以上、休業損害を認めることができない、仕事上の手首の損傷として、示談を迫ってきたことで、当職へ相談に来られた。
確かにTFCC損傷は、微妙なことが多く、今回のMRI画像では、はっきりとしたTFCCの特徴が見て取れない。
当職受任後、診察日に同行し、手術執刀医と面談。今回のTFCC損傷の根拠を確認する。その説明をスマホ録画し、将来の立証の為、カルテ上にも詳しく書いてもらうことをお願いした。
 保険会社に、その録画を送り、納得してもらうことを図るが、保険会社、頑として受け付けない。何を言ってもダメであると判断、自賠責での判断を相手に示すしか無いと判断し、後遺障害申請を着々と進めた。
 後遺障害認定の結果は、TFCC損傷による可動域制限1/2以下の10級10号の認定を受ける。しかし、その認定結果を以てしても保険会社その結果を受け入れない。
やむなく訴訟となる。
 TFCC損傷案件は、はっきりとした損傷が目に見えて分からず、かつ、手術の結果特に改善がみられたわけではないので、大変苦労した裁判となったが、1年後、TFCC損傷を前提とした裁判所の和解案をのみ和解。10級は、労働能力喪失率27%であるが、そこまでの生活不自由は無い状況であったから、若干この点では数値を下げた譲歩を余儀なくされたが、全体としては、1000万円超のとても良い結果となった。
 医師面談のとき、カルテ上に文字を入れ込んでもらっていなかったら(医師はあまり詳しく書くことは無い)、後遺障害認定の結果も危うい事案であったと思う。
 TFCC損傷は、医師も見落とす症例で、事件としては、なかなか難しいが、万事がうまくいって、大満足感。