転倒した自転車とそれを追い抜こうとした車の衝突事故

  • 事故態様:(被害者)自転車 VS (加害者)自動車
    片側1車線道路の丁字路交差点を走行する自転車を、同一方向を走行していた後続車が追い抜こうとした際に、自転車が転倒し、轢かれた事故
  • 過失検討:自転車過失90%

(事故現場図)

(参考文献)大阪地方裁判所(令和元年6月20日判決)自保ジャーナル2055号146頁

弁護士の研究結果

  1. 本件のように、自転車が転倒した類型は判タイムズには掲載されていませんが、似たような類型として、【307】があります〔20(自転車):80(車)〕。これは、自転車の進路変更の類型ですが、車の進路を妨害したという意味では、同じなので、今回は、【307】をベースにして考えていきます。
  2. 形式的には、自転車の合図なし修正で+10、重過失で+10としても、自転車の過失は40%にしかなりません。では残りの50%はどこから来たのでしょうか。
    裁判所は、車の傷が、車両右部分についていたことから、その傷は、自転車転倒後についたものであって、自転車の転倒は非接触転倒であったことを認めました。よって、この事故の原因は、自転車が作り出したもので、車側からすると、この事故を回避することは不可能であったことから、自転車側の過失は、圧倒的に大きいと考え、過失を90%にしたと考えられます。