自保ジャーナル№2181 34頁
東京高裁 令和6年7月3日判決
【事案】
信号のない丁字交差点を右側通行して横断中の被害者Xと突き当たり路から左折してきた加害乗用車Yとの事故について、
右側通行自転車X;乗用車Y=15:85としました。
【分析】
この類型は、判タには、記載がありません。しかし、信号の無い丁字交差点って実は、たくさんあります。普通に大きな道路には、路地に続く信号のない丁字交差点があります。普通にまっすぐ道を自転車で走行している直進路走行自転車が優先する関係にあります。ただ、交差点である以上、それなりの安全配慮義務を負うことは当然です。また、自転車は、左側通行をしなくてはならず、右側通行は法令違反です。問題は、過失割合ですが、右側通行自転車には、15パーセントの過失としています。判タの広路狭路の交差点に於いて広路を進む自転車には、20パーセントの過失を認めています【240】。自転車右側通行には、+5の修正をしています(25:75)。丁字路は、広路狭路よりもより優先権が直進路にあることが明確であるとして、-10パーセントの修正を更に加え 15(X):85(Y)過失にしたのでしょう。
なお、自転車右側通行で加重修正がなされるのは、自転車が車の左側からくる場合に限られます(判タ同章序文)。
左側からの右側通行車は、より近接し、右側からの右側通行車は、左側通行の通常より距離が確保される関係にあるからです。