自保ジャーナル №2180 101頁

大阪高裁令和6年9月11日判決

【事案】
信号のある丁字交差点、直進路の左折専用レーンから矢印(←)青信号に従い左折したY車両と突き当たり路UターンしたX車両の衝突事故。

Yから見て青信号(←)ですので、対向車側からは、赤信号となります。他方、突き当たり路からは、Xは、青信号に従って交差点に進入し、時速40キロの速度で、転回しています。転回禁止道路ではありません。

Yからは、Xは赤信号からの右折と同視できるとの主張がなされました。

左折自動車と転回車との衝突

【裁判所の判断】
70(X):30(Y)

転回が許される交差点であり、時速40キロも制限速度内である以上、赤信号無視と同視できず、ただ、信号に従い左折というX車の「正常な交通を妨害する関係」にあるとして、回転車(Y)に、70の過失を認めた。

【分析】
左折車と転回車の累計は、判タには記載がありません。

しかし、【134】左折車と対向車線からの右折車の事故と同様の利益考量にたったと考えられます。転回自体が禁止されていれば、違った考量となったでしょうが、転回が許される以上、分析的には、転回車も転回途中の交差点上では、【134】と同様の状態になります。交差点の優先関係は、右折車が直進車及び左折車より劣後する関係にあります(道交法37条) 右折車と直進車【114】20:80の場合より、右折車と左折車の場合、左折車は、速度が遅いので、左折車は、避け易いとして+10されています。