【223】【224】【225】
大阪地裁 令和6年10月22日判決 自保ジャーナル2186 96頁
【事案】
片側1車線道路から路外施設へ右折するY普通自動車と同車両を追い越すXバイクとの衝突
・Yは、右折にあたり一旦停止している。
・Yの指示器は、停止後右折開始1秒前
・Xは、追い越しに当たり、黄色中央線をはみ出して追い越し
【裁判所の判断】
50(自動車);50(バイク)
【分析】
追い越し事案であり【223】【224】と進路変更【225】の複合的事案である。
挿絵では、T字交差点の様にみえるが文脈からすると追い越し禁止とされる交差点と評し得ない程の細いT字路とおもわれるから【224】ではなく、【225】右折車30:追い越しバイク70が考察の基本となる。
路外への右折に当たり、路上で指示器もなく一旦停止となると、後続バイクは、自動車が停車すると考えたり、後続バイクに道を譲ると誤解する可能性がある。また、指示器の発信時期が1秒と短く、後続バイクの予見、回避可能性を低下せしめる。他方、バイク側も黄色センターラインを越えての追い越しを予想しがたいとして、優劣のないものとして、結局50:50とした。指示器なく停止することは、バイクの追い抜きを誘因する行為であり、この点で、基本割合から自動車不利にー20修正し、50:50としたものと思われる。
思うに、実は、この種の事故は多い。実は、私もこの種の事故にあいかけた。田舎道で、前方を走る自動車がかなり遅いのろのろとした速度で、走行していた。私は、バイクで、後を、ずっと走りながら、追い抜くチャンスをうかがっていたのであるが、自動車が停止したので、追い抜いて欲しいと停車したのかなと思った。そう思って、反対車線に出て追い抜きをかけたのであるが、突然、右指示器がでて右折をしてきた。ここでブレーキをかけると、衝突すると思い、ブレーキではなく、アクセル全開で、通過した。衝突をギリギリでかわせた。今思い出しても肝が冷える。私も田んぼ道の脇道があることに気付いていなかったことも原因(追い抜くチャンスに注意が行っていた)であるが、指示器の点灯のない一旦停止行為は、極めて危険である。きちんと先に指示器を出してから停止すべきである。バイクも、一旦停止を安易にサンキューと思ってはならない。
なお、挿絵の様に車がT字交差点上で停止したら、後続車は、左折を予測するので、追い抜きをかける動機になりやすい。ただ、そうであっても、黄色ラインを越えての追い越しはしちゃいけない。
50;50は妥当かなと思う。