自保ジャーナル2109号 70頁
大阪地裁令和3年9月3日

2社代表取締役合計収入7428万円の休業損害の算定、逸失利益の基礎収入が大きな論点です。

(裁判所の判断)
まず、休業損害については、給料は、労働対価部分と利益配当部分も含まれるとして、労働対価部分について検討が加えられています。両者の役員で無い従業員の最高収入者の収入が1148万円であること、製品開発、営業全般に特殊な知識・技能を有することから、基礎収入を2000万円としました。

休業日数については、半休を通院の為に取っていましたが、具体的に移動時間、待ち時間、施術時間を算定し、半日分の3/4が休業したと認定し、通院回数を乗して、休業損害を認定しました。

(考察)
役員の基礎収入の算定は、なかなか難しいところがあります。役員報酬は、年間で決せられていますので、休業しても減るところがないからです。

労働対価の算定も難しいところです。創業代表者、ノウハウ等知識は、従業員とは違うとして、役員でない従業員の最高額の約2倍を基礎収入としました。

休業損害の日数も厳しく算定し、60回程度の通院回数日の3/8を休業にしました。まあ、それでも274万円と高額になります。