• 事故態様:トラックがT字路に接する右方駐車場に駐車するため、一旦、T字路を左折した直後、ハザード点灯して後退し、交差点で、後続車トラックと衝突。

(事故現場図)

(参考文献:さいたま地裁令和3月23日判決。自保ジャーナル2097号 122頁)

弁護士の研究結果

道路に面した場所に駐車場がある場合、停車しようとする車は、反対車線にはみ出してから後退する最中に衝突するケースはしばしばありますが、本件は、ちょっと違います。一旦T字路を左折し、後退して進入したケースです。前者は、後退することがかなり予想されます。

本件の場合、裁判所は、後進ではあるが、T字路での事故であるとして、【139】事案で処理しています。基本割合30;70であるところ、20:80(後退車)としました。

後退車としては、直進車が交差点まで70メートルもある地点でハザード点灯していることをアピールしましたが、それを重視しませんでした。なぜならば、通常、一旦、左折した車がハザードを点灯し、後退してくるなど通常予想し難いとしています。確かに、曲がっていった車がバックして戻ってくるとは思いませんよね。

むしろ、そのような特殊な運転をする車両は、より危険度を有するのであることから、慎重に運転するべきとして+10加算修正されました。

今回は、T字路でしたが、よくある普通の道路での反対車線に一旦出て、バックして、駐車するために進入してくるケースは、同様には言えないように思います。