渋滞中に車線変更した際、直進車と接触

  • 事故態様:(被害者)自動車 VS (加害者)自動車
    加害者が指示器を出さずに車線変更してきたために衝突した事故
  • 過失検討:被害者過失5%

(事故現場図)

(参考文献)名古屋地方裁判所(平成30年4月17日判決)自保ジャーナル2025号114頁より

弁護士の研究結果

  1. 本件は、基本類型【153】(基本30:70)に合図なし修正-20して、10:90というところまではほぼ問題なく認定できそうな案件です。
    ところが、裁判例はさらに被害者に-5修正して、5:95としました。この最後の-5は一体どこから出てきたのでしょうか。
  2. 最後の-5を理解するには、類型【153】がどういう事故を想定しているのかを考える必要があります。
    そもそも、車道で車が停止していることは異例なので、この類型は「走行中に車線変更してくることは十分あり得るから注意しなさい。」と、双方車両が走行中の事故を想定しています。
  3. このような視点から事故状況をみると、加害者は渋滞で停止していたことがポイントです。
    被害者からすると、加害車両が走行中で速度を落としたりして「車線変更しそうだな。」と予想容易なのに対して、加害車両が停止しているとそのような予想は難しい。そこで、被害者に類型【153】の修正をそのまま適用するのは座りが悪いが、無過失とまでは言えない(渋滞車列から車線変更してくることは一応あり得る)だろうとして、さらに-5有利な修正を加えたのだと思います。