バイクが速度超過で黄色信号直進、右折トラックと衝突、転倒し横臥中のバイク運転者を別車両が轢過
- 事故態様:
「第1事故」(被害者)バイク VS (加害者)トラック
「第2事故」(被害者)バイク VS (加害者)自動車 - 過失検討:被害者過失35%(第1事故【177】事案、第2事故【48】事案)
(事故現場図)
(参考文献)横浜地方裁判所(平成30年9月13日判決)自保ジャーナル2035号103頁
弁護士の研究結果
- 本件は2つの事故が競合して発生している(共同不法行為)。便宜上、2つの事故それぞれの過失を検討後、全体の過失割合を検討する(絶対的過失)。
- 【第1事故】被害者が黄色で交差点を30キロ速度オーバーで直進、加害車両Yが青色で右折してきたところ衝突。なお、加害車両Yは、衝突後に更に動いた際に路上に横臥していた被害者を再度轢過している。
- 【第2事故】第1事故で東やが路上に横臥していたところ、後続直進してきた加害車両Wに轢過され死亡した。加害車両Wは、減速していた先行車両を加速しながら追い抜いたところ、路上の被害者を轢過した。
- 最後に、本件のように複数の事故が競合して事実上ひとつの交通事故と言える場合には、全ての過失を加算して割合を決定する。
本件では、被害者死亡の直接の死因は第2事故なので、加害者Wの過失は50%となる。残り50%を、加害者Yの過失30%で割合計算すると15%となり、残り35%が被害者の過失となる。
(1)この類型は、黄色直進、青色右折なので、【177】が参考になる。【177】は基本60%、これに30キロ違反+20%で過失80%となるが、判決は70%としている。
(2)この-10%はどこから来たのか。おそらく、加害者Yは、衝突後に不用意に車を移動させて再び被害者を轢いている。これを捉えて著しい過失-10%をして、結果的に70%としたと思われる。
(1)夜間横臥事故なので、【48】が参考になる。【48】は基本50%、これに幹線道路+10~20%までは比較的明らかだが、判決は基本どおり50%としている。
(2)これについては、前の車が事故に気付いて減速しているのに、事故に気付かず逆に加速しながら追い抜いて、危険な追い抜き行為だったという点を捉えて著しい過失があったとして、幹線道路修正と相殺するような形で50%としたと思われる。