右折車と後続から追い越そうとしたバイクの衝突事故
- 事故態様:(被害者)バイク VS (加害者)自動車
加害者が道路の右にある施設に入ろうと右折を開始したところ、後方から追い越ししようとしてきた被害車両と衝突した事故(見通し良好、追越禁止エリア) - 過失検討:被害者過失70%
(事故現場図)
(参考文献)さいたま地方裁判所(平成30年4月23日判決)自保ジャーナル2027号87頁
弁護士の研究結果
- 裁判例は、判タ類型【223】(基本8:2)を参照して定めるべきとしつつ、結論として7:3としました。
しかも、一見するといずれの修正要素にも該当しそうにない案件で、裁判所は何を根拠に10%被害者に有利に修正したのでしょうか。 - 裁判例は①【223】は追い越しが完了したケースを想定しているのに対し、今回の事故は追い越し途中の事故であること②加害者が被害車両の存在に気付かず右折をしたこと(後方確認不十分)の2点に着目して、被害者に10%有利に修正しました。
- 裁判例は、①②がどうして10%有利修正になるのかについて明確に述べていませんが、【223】の注2は、被追越車が後方からの車両を認識することができたのに、そのままの速度と方法で進行すれば事故に至る場合又はそれに準ずる過失があるときは被害者に有利に修正する余地を残しています。
本件は、①②の点をあえて指摘することで「準ずる過失がある」という思考過程だったと思います。