貨物車を追い越そうとした際に衝突した事故
- 事故態様:(被害者)原付 VS (加害者)大型貨物車
片側1車線道路を原付が走行中に、大型貨物車を左路側帯から追い抜こうとした際に、前方に道路上に伸びた草によって自ら転倒し、轢過され、死亡した事故 - 過失検討:被害者過失100%
(事故現場図)
(参考文献)東京高等裁判所(令和元年5月16日判決)自保ジャーナル2052号101頁
弁護士の研究結果
- 本件は、原付の追越の際に起きた事故なので、【224】が当てはまり、70(原付):30(貨物車)になります。
形式的には、追越危険場所修正で+5、原付の制限速度を超えての追越を重過失として+10で、85(原付):15(貨物車)になります。では、残りの15%はどこから来たのでしょうか。 - 裁判所は、原付の後方には傷はなかったことから、被害者が自ら転倒し、加害車両からは被害原付が確認できなかったと判断しました。加害貨物車は車線の真ん中を走行していただけであって、路側帯にはみ出て走行していたわけではありません。よって、加害貨物車からすると、見えなかった被害者を予見することは不可能だったことから、本件事故は不可避だったとして、加害者の過失を否認したのでしょう。原付で貨物車を追い抜くこと自体かなり無謀なことなので、死亡事故だとしても、当然の判断だと思います。