合図なしの車線変更で衝突され、転倒したバイクが後続車に轢過
- 事故態様:(被害者)バイク VS (加害者)車
片側5車線道路の第4車線をバイクで走行中に、第5車線から車線変更してきた加害車Yに衝突され転倒し(第1事故)、第3車線を走行してきた加害車Zに轢かれ、死亡した事故(第2事故)。 - 過失検討:被害者過失5%
(事故現場図)
(参考文献)名古屋高等裁判所(令和2年2月28日判決)自保ジャーナル2069号124頁
弁護士の研究結果
- 本件は、2つの事故が度重なって起きています。
第1事故は、車とバイクの車線変更の事故なので、【225】が当てはまり、20(バイク):80(加害車Y)になります。
第2事故に当てはまる類型は、判例タイムズには記載されていませんが、加害車Zからすると、予見回避が不可能な事故なので、Zに過失がないことは明らかです。
今回は、第1事故がどのような判断をされたのかを考えていきたいと思います。
形式的には、合図なし修正で-20、被害者の酒気帯び運転を著しい過失で+5で、5(バイク):95(加害車Y)にしました。 - 実質的には、加害車Yは、予め指示器を出してから車線変更するべきでしたが、それを怠り、左後方の安全確認も怠った点に過失があります。他方で、バイクには、少量でしたが、酒気帯び状態で運転をしていたことに過失があると判断できます。
これらを踏まえると、バイクからすると、予見回避が極めて困難でしたが、酒気帯び運転は過失相殺せざるを得ない要因だと判断し、最小限の5%の過失になったと思われます。