去る9月10日本年度の司法試験発表がなされました。本年度の合格者は、1502人です。受験者は、4465人ですので、合格率33.63%ということになり、三人に1人が合格する試験となりました。旧司法試験時代の我々世代は、2~3%程度でしたので、隔世の感があります。受験者が5000人を割り込むというのは、私にとって驚きです。旧試験時代受験者が2万人を割り込むことなどありませんでした(合格者500人強)。
確かに、以前は、弁護士になれば、大金持ちにはなれないかもしれないが、小金持ちにはなれると言われていました。現在は、激しい競争にさらされています。個人破産の費用など、私が弁護士になった頃の1/3まで下がっています(法テラス価格)。弁護士業を魅力に感じない人が増えても仕方ないと思います。
10月には、各大学で合格祝賀会が催されますが、合格者のスピーチを聞くと時代が変わったなあと感じます。従来的な法曹は、どうしても法廷を舞台とした仕事をイメージしますが、今の子は、将来事業者としてやっていきたいという人が結構いるのです。アメリカには、弁護士資格を持った実業家が沢山いますが、日本もその様な流れになっているのかもしれません。
私は、学生に司法試験受験を勧めています。昔の様に人生を賭ける試験では無く、きちんとセオリーを踏んで勉強すれば、確実に合格する試験です。世の中の変化は、近年すさまじく、入った会社が将来どうなるのか分かったものではありません。弁護士資格を有していれば、たとえ法廷業務をしなくても、大きく職域が広がります。
税理士や弁理士登録もできます。不確実性の時代を生きるツールになることは間違いありません。
かく言う小職の愚息も今大学2年生♂。父親に反抗してか、昔から「弁護士なんかにならない」と言って、理科系の学部に進みました。(弁護士にならない理由を聞けば、いつも「ダルい」という意味不明の回答)。しかし、最近、司法試験に興味を持ってきたようです。将来の事を考えるとき、若者にとって不安は付きものです。不安は活力を生み出してくれます。他学部であっても問題無く司法試験受験可能です。法学部以外の学生が、自分の学部の勉強の他、法律を勉強するのは大変でしょうが、他学部の知識は、将来に役に立ちます。大学生活サークル活動に明け暮れるのも一つの人生ですが、目標に向かって突き進むという体験は、代えがたい人生経験です。目標に向かって頑張るというのが単なる大学受験で終わりというのは、寂しい限りです。
1/3が合格する試験を魅力無い資格であると考えるのでは無く、チャンスと捉え、若者には、青春を謳歌してもらいたいと思います。