50代女性 会社員
事故態様:原付バイク対中型バイク、信号のある交差点上での衝突。信号は、双方赤
受傷部位等:被害者片足切断の大怪我の事故

当初、女性が関係者に相手が赤信号で来たと言っていた為、労災使用した上、長期の休業補償を受領し、労災の後遺障害給付も受領していた。治療期間が2年半に及び、その間、保険会社が一括対応してくれていた。さて、後遺障害も決定し、示談交渉を進めたところ、相手から、「刑事記録調べてみたら、信号双方赤の事案です。こちらも、今まで、0:100と思っていたのに…既払い莫大だし、難しい事案となりました」 当方も0;100で今まで話が進んでいると聞いていたので、びっくり。こちらも刑事記録取り寄せてみましたが、交差点に置かれた監視カメラ上、ばっちり、当方依頼者赤信号でフライング発進しています。過失割合基本50:50 先進入修正(+10)かけても40:60。何度も手術しており、医療費も高額で、休業損害一時払いも高額。労災からの既払いは、損益相殺の対象にもなるので、計算上は、100万円にも達しない結果となってしまう。
 画像で赤信号発進であるのは明らかであるが、これを受け入れる気持ちになれない女性の気持ちもわからないでもない。相手は、全く軽傷なのに、自分は、片足を失い、仕事も失った。相手も片足を失っていたら、納得もいく。過失相殺は、損害の公平な分担というのが趣旨であるが、損害が大きく異なる場合に、機械的に、過失割合で処理していいものか。
 しかし、今の制度では、この考え方で処理するしか無い。粘り強い交渉の結果、過失割合、3:7まで修正してもらい、異例の過失割合処理で、和解に至った。「損害の公平な分担」とは、何かを考えさせられる事件であった。