ヘルメット着用義務のないトライクの死亡事故

  • 事故態様:(被害者)側車付二輪車 VS (加害者)中型貨物車
    被害者の側車付二輪車が直進中、右折しようとしていた加害車両の中型貨物車に衝突し、被害者が死亡した事故
  • 過失検討:被害者過失20%

(事故現場図)

(参考文献)東京地方裁判所(令和元年8月23日判決)自保ジャーナル2059号119頁

弁護士の研究結果

  1. 3輪タイヤの車にしては小さく、バイクにしては、幅のある乗り物を時々見かけますが、これは『トライク』と呼ばれる乗り物です。オート3輪の流れをくみ、自動車扱いでヘルメットの着用義務はありません。ただ、道路輸送車両法の車両区分では「側車付二輪車」となっています。サイドカーは、バイクでヘルメットが必要です。車検証に「側車付二輪」と書いてあるので、ヘルメットの着用義務違反として、警察官が誤って、反則切符を切り、損害賠償義務を認められたという裁判もされました。
  2. その中で本件は、路外に出る車と直進二輪の事故で、基本【220】の10(2輪):90(車)になります。
    形式的には、車の既右折で+10、ヘルメット無着用で+10、死亡事故ということもあるでしょうが、法的に着用義務は無くとも、裁判所は、過失を認めました。
    バイクとの類似性を考えれば、損害賠償の過失相殺としては妥当だと思います。